新年あけましておめでとうございます。
IT Search+では「2017年新春インタビュー」と題し、「IoT」を軸に携帯3キャリアの法人部門トップインタビューを行いました。IoTの本質とは何か、携帯3キャリアの戦略からIoTをベースに、次の打つべき手は何かを見出していただければと思います。トップバッターはNTTドコモです。

センシングデータとAIの融合で”革命”を目指すソフトバンク

「グローバル」と「セキュリティ」が鍵を握るKDDIの戦略

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NTTドコモがIoT時代を戦うでのキーワードとなるのが「+d」だ。

「+d」は、2016年6月に取締役相談役となった前社長の加藤薫氏が掲げた戦略。同社 取締役常務執行役員で法人ビジネス本部長の古川 浩司氏は「ドコモのアセットと、パートナー企業や組織のアセットを共創していく考え。モバイルICTで第四次産業を創出し、社会課題を解決して行きたい」と話す。

NTTドコモ 取締役常務執行役員 法人ビジネス本部長 古川 浩司氏

垂直統合モデル以外の道を

IoT時代においては、携帯3キャリアの「NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク」という枠組みの戦いではなくなるとされている。古川氏は「今後も料金やネットワークコストといった戦いは残るが、トータルでどういう付加価値をつけられるのかが重要になっていく。そうなると、これまでNTTドコモが得意としてきた垂直統合モデルは限界になる。そこで、さまざまなパートナーと組むことで知見や知恵を借りていき、NTTドコモのアセットと組み合わせて行きたい」という。

NTTドコモが持つ、主要なアセットといえば、2020年に商用化が始まると言われる5Gといった通信環境に加え、ビッグデータ処理なども得意とする分野だ。

「5Gは超高速、大容量と言われている。5Gの世界が実現すれば、8Kの映像伝送もモバイルで行えるようになる。ARやVR、ロボットの世界にも応用できる。また5Gでは通信の低遅延も進化するが、自動運転やロボットなどに繋げることができる。さらに、プライバシーに配慮した形で、ユーザーの動きを集積し、ビッグデータとして解析する『モバイル空間統計』も期待できる。いろんな分野で貢献し、社会的課題を解決していきたい」(古川氏)

すでにNTTドコモではさまざまなパートナーと組み、先端技術を取り入れた実証実験を手がけている。

マツ枯れ被害を防ぐためにドローンを活用

例えばドローンでは新潟市などと組み、ドローンからの画像データとセンサー情報を組み合わせて、水稲環境をモニタリングする。これにより低コストで高品質な稲を作り、収穫量、収益性の向上につなげる取り組みを実現しようとしている。また、海岸保安林でもドローンを飛ばし、マツ枯れの被害を食い止めるプロジェクトを進めている。(関連記事 : ドコモら、新潟市でドローンを活用した農業ICT実証プロジェクト)

また福岡市では、ドローンにスマートフォンを載せた「セルラードローン」を、「福岡市ヨットハーバー」と2.5キロ沖にある能古島を往復させた。能古島にいるシニアやファミリーが「日用品がすぐに欲しい」という時に、オペレーションセンターに連絡することで、ドローンが商品を載せて、能古島の空き地まですぐに空輸してくれるという実証実験だ。

ドローンにはスマートフォンを搭載しているため、遠隔地からでもカメラによってドローンの状況を確認できる。スマホのカメラで到着地の状況を撮影し、リアルタイムに配信することで、「日用品を地上に落としても問題ないか」という確認が行えるわけだ。能古島と福岡側は、日中は1時間に1本、朝夕の通勤・通学時間帯は30分に1本の頻度で連絡船が往復しているが、「将来的にドローンは市場として十分に成立するのではないか」(古川氏)と今後に期待を込める。

なお、現状のセルラードローンについては「技術的にも検証が必要だが、やはり法制度面の整備が重要で、クリアしなくてはいけない課題もある。今の所は、電波など地上への影響は確認できていないし、今後も検証を続けて行く。実用化に向けて、確実に進化している」(同社 IoTビジネス部長 谷直樹氏)としていた。

また、NTTドコモは九州大学やDeNAと組み、自動運転バスの実証実験にも着手している。九州大学のキャンパス内に自動運転バスを走らせるのだが、NTTドコモが持つ通信技術だけでなく、人工知能を活用した音声エージェントや運行管理支援技術を開発することで、安心と便利を両立した自動運転バスを実現していくという。