画像の利用とライセンス

センチネル・ハブの衛星データと、商用衛星データのライセンスについて確認しておこう。まずセンチネル・ハブの無償利用は教育・研究用途に限定されており、商用可能になるのはベーシックプランの契約以降となっている。

さらに商用衛星データについては、衛星の運用各社が公開するライセンスポリシーのもとで利用する必要がある。エアバスのライセンスポリシーでは、衛星画像をデータとして再販またはリースすることはライセンス違反となり、これは元の衛星データに加えてそこから作成された付加価値製品(デジタル標高データなど)にも適用される。

例外は紙に印刷、または位置情報を取り除いた単なるスクリーンショットにした場合で、非商用用途に限りインターネットサイトに公開してよいことになっている。

すると、本記事のように商用メディアに公開することは画像の商用利用となってライセンス違反になってしまうのでは? と悩むところだが、メディア用途については別途ライセンスがある。

プレアデス衛星画像のユーザーガイドの「The Media Licence」の規定では、デジタルおよび印刷メディア(インターネット、テレビ、雑誌や新聞など)でのコミュニケーション用途での利用はメディアライセンスのもとで許可されている。

  • センチネル・ハブのメディアライセンス抜粋

    センチネル・ハブのメディアライセンス抜粋(出典:センチネル・ハブ)

ライセンスポリシーが複数の場所に存在するのでわかりにくいが、2つを突き合わせて考えるとメディア利用は許可されているものの、位置情報は削除した状態が望ましいといえそうだ。

また、転載を防ぐためにもクレジット表記はつけておくべきだろう。エアバスのクレジット表記ルールでは「PLEIADES (C) CNES YYYY, Distribution Airbus DS」のように、撮像した衛星名、著作権者となるCNESの名前、撮像年、配布元のエアバス DSの名称を組み合わせることとなっている。

本記事の画像では、さらに利用プラットフォームのセンチネル・ハブの名称を加え、「PLEIADES (C) CNES 2022, Distribution Airbus DS via Sentinel-hub」とした。

無償画像を使いこなして成功率アップ

ここまで、欧州の衛星画像プラットフォーム「センチネル・ハブ」を使ってエアバス DSの高解像度地球観測衛星「プレアデス」のアーカイブ画像を購入する方法を解説した。手順は簡単だが、限られたクォータから確実に衛星画像を購入するには、「失敗したらどうしよう」という不安も感じてしまうかもしれない。そこで、普段から無償のセンチネル2画像を使いこなして見たいエリアの衛星画像に慣れておこう。

何か興味関心を持つ事象が発生し「これを衛星画像で見たらどうか?」と思ったときには、すぐに位置情報を探して、センチネル2でその場所を見てみる。

範囲が広い事象ならばセンチネル2で事足りることも多いし、だんだんと「VHR画像でここを高精細な画像で見られればこういうことがわかるはず」という感覚が身についてくる。 あるいは、センチネル・ハブのベースマップをOpenStreetMapから「Google Satellite」に変更すると、グーグルマップなどで見慣れた高精細な衛星画像が表示される。都市や建造物などを含むエリアをピンポイントで指定する場合にはベースマップも同様の衛星画像にしておけば、AOIを指定しやすくなる。

  • センチネル・ハブのベースマップを「Google Satellite」に変更

    センチネル・ハブのベースマップを「Google Satellite」に変更(出典:センチネル・ハブ)

センチネル・ハブを通したプレアデス画像は、アーカイブの量が限られているため「肝心の日付の画像は見つからない」ということも少なくない。

とはいえ、これまでなかなか手が届かなかったVHR画像に積極的にアクセスするきっかけとなり、衛星画像の敷居を下げる存在だ。