変化抽出レイヤの表示を調整する
QGISでは、レイヤごとのプロパティを調整して表示法を変更することができる。作成したlog-ratio_layerの後方散乱強度が小さくなったピクセルを青く、後方散乱強度が大きくなったピクセルを赤く色づける。中間的な、変化の少なかったピクセルを透明化すれば、2つの方向に変化が大きかったピクセルだけを強調表示できる。
Log-ratio_layerを右クリックし、「プロパティ」→「シンボロジ」を開く。「レンダリングタイプ」を「単バンド疑似カラー」に変更、「補間方法」を「離散」に、「カラーランプ」は「Spectral」など見やすいものに変更する。「モード」を「等間隔分類」に設定し、「分類数」はここでは8段階に設定。ラベルの中間段階を右クリックして「透明度」を0に設定し、変化の小さいピクセルを透過させる。「リサンプリング」は拡大側を「Cubic」に、縮小側は「Bilinear」に設定し、「適用」をクリックして設定を反映する(※ASFのマニュアルでは縮小側の設定は「Average」だが、QGISのメニュー変更によってAverageを利用できないため「Bilinear」を選択する)。
能登半島地震 ALOS-2変化抽出マップ
ここまで、SARデータから発災前と後で地表に変化が起きた場所を抽出し、地図と重ね合わせる作業を行った。ベースマップ(地理院標準地図)とALOS-2データ、カラー化したlog-ratio_layerを重ねたプロジェクトを「能登半島地震 ALOS-2変化抽出マップ」と呼ぶことにする。マップは1月1日の観測データを元にしたもの、1月2日の観測データを元にしたものと2種類がある。
地図にグリッドを表示する
ここからは、地図上で色付けしたピクセルを元に変化の確かさ(偽陰性・偽陽性の判別)や変化が起きた理由を探っていく。すでに防災機関などが公表している被害状況のデータが数多くあるため、他の情報と突き合わせて、1か所ずつチェックしていくことにする。
地図の解析箇所を把握しやすくするため、まずグリッドを表示する。「ビュー」メニューから「地図装飾」→「グリッド」を選択。「グリッドを有効にする」をチェック、間隔を設定し(ここでは20km)、「適用」または「OK」をクリックして決定する。
緯度経度の情報を使って他の情報ソースと突き合わせる
変化抽出マップと他の情報ソースを突き合わせるには、住所を利用する方法と地理空間座標(緯度経度)を利用する方法がある。市街地ならば住所が利用できるものの、山間地の場合はうまく絞り込めない場合があるため、緯度経度を利用できるようにしておこう。
マップ上で変化が大きい場所(濃い赤またはブルーに表示された箇所)を右クリック。座標をコピー→「WGS 84」を選択する。クリップボードに緯度経度がコピーされ、この座標を元に、オンライン地理院地図やGoogleマップ、Google Earthなどで場所を検索することができる。
今回は、衛星データをQGISに読み込み、発災前後での変化を抽出した。後編では、抽出した変化の箇所をほかのデータソースと突き合わせ、“実際に起こった変化”担っているのかを確認していく。