その結果、動物性とんこつスープからは、油脂感、獣臭、しょうゆの香りなどの言葉で表現される特徴が感じられた一方、植物性とんこつ風スープからは、ショウガの風味、野菜の風味、鶏がらスープの香りなどの言葉で表現される特徴が感じられることが示されたとする。
続いて、一般の消費者がとんこつスープのおいしさにおいて何を重視するのかを調べるため、男女12名に対して、動物性・植物性とんこつ(風)スープ各2種類の実食を伴うインタビュー調査を実施。その結果、とんこつスープのおいしさや物足りなさと関連する要因として、「濃さ」「複雑さ」「動物っぽさ」というキーワードが得られたという。
さらに、とんこつスープの「動物っぽさ(動物性感)」に着目し、一般消費者34名により、動物性・植物性とんこつスープ各2種類の動物感の強さの評価が行われた。すると、どのような香りや味に対して動物感が強いと評価するかには個人差が大きいものの、動物感のとらえ方には複数のパターンがあることが判明したとのこと。全体的な味が濃いと動物感が強く、味が薄いと動物感が弱く感じるパターンや、しょうゆや味噌の香り・風味が感じられると動物感が強く、スパイシーさが感じられると動物感が弱く感じるパターンなどが見出されたとしている。
研究チームによると、今後、各とんこつ(風)スープの特徴と、消費者が実際に食べた時に感じる動物感やおいしさを、個人差を考慮しながら照らし合わせることで、とんこつ(風)スープの味や香りをどのように制御すれば、消費者個々により高い満足感を与えられるかが具体的にわかるようになるという。
また、今回開発された一連の官能評価法をそのほかの食品に適用することで、さまざまな植物性食品のおいしさの要因を解明することが可能になるとし、より動物性食品に近い植物性食品の開発や、代替食品の位置づけにとどまらない新たなおいしさを訴求した植物性食品の創出につながることが期待されるとしている。