劔の性能検証では、DB用の代表的なベンチマークツールである「Yahoo! Cloud Serving Benchmark(YCSB)」が用いられた(処理時の負荷の大きさは、YCSB-A(Read:50%、Update:50%)として検証を実施)。その結果、1ノード112コアの環境において約456万TPSと、219ナノ秒の応答遅延が達成すると同時に、32コア以上の環境で一貫性を担保した実用前提のDBとしては世界最速レベルの応答性能・データ転送量も達成されたとする。
また実運用を想定した検証では、次世代DBのユースケースとして想定される、画像処理・超大規模データ解析・業務管理・災害対応の4領域において、それぞれ事業者の協力のもと、管理、収集、解析のためのシステム基盤に劔を使用し、検証を実施したという。
次世代DBの想定ユースケースと検証内容(協力事業者)
- 画像処理:IoTデータのリアルタイムDBにおける運用(62Complex)
- 超大規模データ解析:e-Scienceへの適用(国立天文台)
- 業務管理:生産性向上への適用(アンデルセンサービス)
- 災害対応:災害発生後の初動・応急対策段階での活用(パスコ)
その結果、劔の世界最高レベルの処理性能に加えて、一貫性を担保した上でバッチ処理と短時間で処理が完了するショートトランザクションの併用を可能とするシステム構成がさまざまな利点を生み出し、4領域において、従来管理システム使用時に比べ、有用な結果を得ることができたとしている。
劔は現在、2023年7月10日にコミュニティサイトがオープンされ、そこから申し込むことで、希望者にアーリーアクセス版が直接提供されるようになっている。今後同コミュニティサイトでは、更新情報や活用事例の紹介など、劔が広く社会で活用されるための情報を公開するプラットフォームとして整備していくという。
さらに2023年9月下旬には、劔のオープンソース版が公開される予定だといい、公開版はインストーラとして自身でセットアップできるほか、検証を早く行えるようオープンプラットフォーム「Docker」でも各種情報を提供するとする。また一般公開版のリリースに合わせて、解説書も刊行する予定としている。