全ダイに3D V-Cacheが搭載されたGenoa-X
続いてはGenoa-Xであるが、こちらは既にMilan-Xという前例があるから、理解がしやすい。Ryzen 9 7950X3Dなどと異なり、こちらは全ダイに3D V-Cacheが搭載されているので、総L3容量は1.1GBに達する(Photo14)。といってもそれ以外は特に目新しい話はないのだが……。
SKUはPhoto15に示す3モデルのみ。
ちょっと3D V-Cache無しと比較してみた結果が表1であるが、ハイエンドの9684Xを例外(これのみDefault TDPが400Wになっている)、基本3D V-Cacheを搭載するとやや動作周波数が下がっているのがお判りかと思う。
これはRyzenも同じで、3D V-Cacheは熱に弱い(分子間力で接続されているので、高温になると材料の熱による歪みで接続がはがれてしまう)のを防ぐために、やや低めの温度で動作する様に動作周波数を下げられている。もっともこれはRyzen 9 7950X3Dとかでも同じなのだが、でも実際には動作周波数を下げてもゲームなどではむしろフレームレートが上がったりするわけなので、この辺はアプリケーションとの相性ということになる。
ちなみにAMDによる用途別のお勧めがこちら(Photo16)。
殆どのアプリケーションには32CoreのEPYC 9384Xが最適としている。こちらはトータルのL3容量は768MBでしか無いが、その代わりトータル32コアだからコアあたり24MBと、EPYC 9684Xの2倍の容量が利用できる。本当にキャッシュ容量が必要なアプリケーションでは、むしろ使い勝手が良さそうだ。
性能としては、例えばEDAツールの場合、Genoaと比較して最大73%高速(Photo17)、科学技術計算ではSapphire RapidsベースのXeon Platinum 8462Y+と比較して平均でも1.5倍、最大では2倍近く高速としており、最大構成同士だと更に差が開くとする(Photo19)。
ところでMilan-Xの時も、Microsoftはこれを採用したHBv3での性能を開示しているが、同様にGenoa-Xを搭載したHBv4インスタンスの性能を開示している。今回は細かい分析は割愛するが、アプリケーションや動作条件によって効果は変動するものの、きちんと容量をあわせて使う事で大幅に性能が上がる事が示されている。ちなみにこのHBv4インスタンス、当初のプレビュー版はGenoaベースだが、一般提供はGenoa-Xに更新の上で行われる事になっている。
ということでまずはEPYCについて簡単に情報をまとめてご紹介した。次回はInstinct系の話題を取り上げたいと思っている。