テレワークにより体に変化が……

新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の影響で、ほぼ強制的にテレワークに切り替わった方も多かっただろう。何事もそうであるように、テレワークにもメリットとデメリットがある。業務上のメリットとデメリットは業務の内容で変わるので、本稿ではテレワークに変わったことで起こった健康上の変化について取り上げよう。

太る

テレワークによって真っ先に感じた変化は太ったことではないだろうか。これまで物理的な出社・退社を日常的に行ってきた人が在宅で仕事をするテレワークに切り替わると、通勤に費やしていたカロリーや、昼の食事に関する移動で消費していたカロリー、仕事中の移動などで消費していたカロリーを消費しなくなる。

それまでの生活では体重がキープできていたとする。生活は通勤がなくなっただけで変化がないという場合、消費しなくなった通勤の分のカロリーだけ体重は増えることになる。新型コロナウイルスの感染が拡大している間は不要不急の外出を控えるように呼びかけが行われたこともあって、消費カロリーはさらに減りやすい状況にあった。

その結果として、太ったというわけだ。消費カロリーが減った分、摂取カロリーを減らせていればそう太ることはない。しかしながら、そうはいかずに多くの人が一時的に体重の増加を経験したと思う。太ってきたことを自覚してから減量に取り組み、うまくいった人は元の体重に戻せたことだろう。

腰が痛くなる

外見からはわからないが、話をしてみると腰が痛くなるようになったという話をしばしば聞くようになった。状況から考えると、通勤という体を動かす時間がなくなったことで座り続ける生活になり、それが腰に痛みや嫌な感じの重さとして現れたと考えられる。

また、もともと長時間座って作業するようには考えられていない環境で長時間座って仕事をするようになったことでも、腰に負担が生じるようになったのかもしれない。以前よりも肩が凝るようになったという話も聞いた。座り続ける生活になったことで腰や肩に不具合が発生するようになったようだ。

体は運動で機能を維持している

健康な体でいるために、食事・運動・睡眠が大切であることは以前から知られている。そして近年、運動を行うことで身体がさまざまな健康に関する機能を動かしていることがわかっている。ウォーキングや軽いジョギングのような有酸素運動、重い物を持ち運ぶといった無酸素運動、一気に短時間全力で動くといったことを数回繰り返す高強度インターバルトレーニング(HIIT: High Intensity Interval Training)など、それぞれが身体に対して健康を維持するための働きをもたらすことがわかっている。

そして、長時間座り続けることは、健康に悪い影響をもたらすことも近年指摘されるようになっている。筋力低下、循環器系の不具合の発生、肥満リスクの増大、糖尿病リスクの増大、腰痛や肩こりの発生、慢性疲労などが発生すると言われている。

人間の体は動くことで健康に関する機能を動作させることがわかっているので、動くことが極端に少なくなる「座り続ける」という行為はさまざまな問題を引き起こす。抜本的には座り続ける時間を短くして定期的に動くようにすることが対策として推奨される。

とはいっても、運動は苦手なのだけど……

こうして、テレワークで動かないことによる害が顕著になったわけだが、もともと日常的に運動をする習慣がある人にとっては問題になることが少ない。毎日ジムに行くような習慣がある場合はなおさらだ。毎日運動する習慣があると座り続けることで、体に発生する違和感に敏感になっている人もいる。すぐに体に違和感を感じて体を動かしたくなり、問題が発生しにくくなる。

問題なのは運動する習慣がなく、そして運動することが好きでもないといったケースだ。こうした人は通勤が貴重な運動の機会になっていて、通勤がなくなったことで健康問題が浮上してきた可能性がある。体の構造を考えると、少なくとも毎日通勤と同じ程度の運動をするまでは運動量を増やすことが望ましい。とにかく、体を動かさないと健康な状態を維持するのは難しい。

わかってはいても、やっぱり1日中自宅にこもって仕事をしてしまうというひともいるだろう。定期的に一定量の運動はこなしていくことが望ましいが、これまでやっていなかった運動を習慣にするのは実際問題として難しい。病気になるなど、体感できる不具合が発生しないとなかなか継続して取り組もうとは思わないものだ。

そこで今回は、「やっぱり運動は苦手」という人向けに、トレイニーやアスリートが取り入れているメンテナンス方法やちょっとしたガジェットを紹介しよう。基本的には運動をすることが望ましいが、それを手助けするガジェットとして活用を検討してもらえれば幸いだ。