さらに、MAXIが受けたX線残光は、これまでスウィフトが17年間に観測した約400のガンマ線バーストの残光の中で最も明るいものよりも、さらに1桁ほど明るかったことも判明。MAXIは約1時間半で全天を1回スキャン観測するが、X線残光は急激に減光するため、通常は弱い強度(0.1crab程度)で1回観測できるかどうかだったというが、今回は、発生41分後でありながら初回の観測でも約2.5Crabもあり、その後も5スキャン(7.5時間)に渡って検出されたという。
GRB 221009Aは銀河面に近い位置で発生し、放出されたX線は銀河系内の塵の層をいくつも透過して地球に到達することになった。その結果、スウィフトによる観測では幾重にも重なる「X線リング」が観測された。ガンマ線バースト本体のガンマ線が銀河系内の塵により反射され、時間差で地球に到達するために見られる現象だ。MAXIのデータでは中心の残光と反射リングを区別できないため、MAXIデータではX線リングを考慮して解析が行われ、正確な光度曲線が計算された。
研究チームによると、過去最大の明るさだったがゆえに、これまでになくガンマ線バーストとその残光の特徴が数多く詳細に得られた今回の結果は、今後、まだ謎が多いガンマ線バーストとその残光を理解する上で多くの情報を与えるものと考えられるという。また、重力波観測が2023年5月から再開されることもあり、MAXIによるブラックホール新星をはじめとする新たな突発天体・突発現象のさらなる発見が期待されるとした。