最後に、子どもの性別と母親のアレルギー歴の有無で分類し、季節と1歳時点までのアトピー性皮膚炎の発症との関連が調べられた。その結果、母のアレルギー歴に関係なく、男児では春生まれよりも秋生まれの方がアトピー性皮膚炎を発症する可能性が統計的に有意に高いことが明らかになった。
また母にアレルギー歴があると、男児でも女児でも春生まれと比べて秋生まれの子で発症しやすくなるという関連が見られたという。さらに、母にアレルギー歴がある男児においては、夏生まれにおいてもアトピー性皮膚炎の発症が統計的に有意に高いことが確認された。
今回の調査では、生後6か月時点と1歳時点という季節が異なる2時点で観察が行われた。その結果いずれも秋生まれの子で湿疹が発症しやすく、またこれまでの報告通り、1歳までのアトピー性皮膚炎の発症も秋生まれに多いことが判明した。
アトピー性皮膚炎の発症では、皮膚の乾燥とそれによる皮膚バリアの崩壊が大きなリスク要因と指摘されている。そのため、秋生まれの子ども、特に男児や母親にアレルギー疾患歴がある場合は、早期から適切なスキンケアを行うことで、アトピー性皮膚炎の発症を予防できる可能性があるとしている。
今回の研究では以上のことが明らかにされたが、研究の限界点もあるとする。1つは、湿疹の有無とアトピー性皮膚炎の診断を保護者の回答する質問票より行ったため、客観的な情報収集ができていない点。そして2つ目は、生後1か月時点と生後6か月および1歳時点では、湿疹の有無を質問する質問文が異なるため、正確な時系列の比較ができていない点だという。さらに3つ目として、アトピー性皮膚炎は遺伝的要因によって発症のしやすさが異なるが、遺伝的要因を検討できていないことも挙げられた。
研究チームは今後、どの季節に生まれてもアトピー性皮膚炎の発症が予防できるよう、季節で変動するさまざまな因子との関連をさらに調べていく必要があるとしている。