そこで研究チームは今回、加熱式たばこを含むたばこ使用状況と、SARS-CoV-2の感染およびCOVID-19罹患時の悪化との関係について調査したという。同調査では、インターネット調査会社の楽天インサイトに登録中の日本の一般住民から、日本の人口分布に沿ってランダムに選定された参加者を対象とし、2022年2月にオンラインで生活状況調査が行われた。そのデータのうち、加熱式たばこを含むたばこ使用状況と2020~2021年のSARS-CoV-2感染および感染時の悪化(入院、酸素投与)の有無、さらに先行研究を踏まえた感染および悪化と関連しうる項目が抽出され、その関係性についての統計解析が行われた。
今回の研究の参加者は3万130名(16~81歳)で、そのうちの24.3%が現在たばこを使用していた。使用者の内訳は、21.2%が加熱式たばこを単独、30.1%が燃焼式たばことの併用だった。そして、全参加者における解析から、たばこ非使用者と比較して加熱式たばこ使用者(燃焼式たばことの併用者を含む)では、SARS-CoV-2感染リスクが高いという結果が導き出されたという。
また、SARS-CoV-2感染者で2年とも感染した20名を除く1097名における解析で、たばこ非使用者と比較し、過去の使用者を含むいずれのたばこ使用者もCOVID-19罹患時に酸素投与を必要とするリスクが高いという結果も見られた。加えて、燃焼式たばこと加熱式たばこの併用者は、SARS-CoV-2の感染およびCOVID-19罹患時の入院、酸素投与のいずれのオッズ比も最も高い値が示されたという。
今回の研究成果により、燃焼式たばこのCOVID-19悪化に対するリスクが再確認され、また新たに加熱式たばこの使用(特に燃焼式たばことの併用)がCOVID-19悪化に関連する可能性が示唆された。
しかし、今回の研究はあくまで一時点を見たもので、現在加熱式たばこを単独で使用している人も過去に燃焼式たばこを使用していることがほとんどだったとする(今回の加熱式たばこ単独使用者の86%が該当)。そのため、加熱式たばこの使用が実際どういったメカニズムでCOVID-19罹患・悪化に関与するのかについては、今後さらなる研究が必要だという。研究チームは、今回の研究結果が、COVID-19流行下におけるたばこ使用行動を考えるきっかけの1つ、または新型たばこの影響に関する研究の一助となると考えているとした。