Webアプリで簡単閲覧 サグリ「地番検索くん」
サグリはデータ公開に合わせ、1月23日午後に登記所備付地図をWeb上で閲覧できるアプリ「地番検索くん」α版を急遽リリースした。これまでの登記所での申請に比べてはるかに手間が軽減されたとはいえ、XML形式のデータやGeoJSON変換ツールの利用は、GISに慣れた人以外には敷居が高いこともある。まずは「見るだけ」のWebアプリが地図利用のきっかけになりそうだ。
「耕作放棄地がひと目でわかる私たちの農地パトロールアプリ「アクタバ」での事例ですが、太陽光発電の業者さんから『太陽光発電を設置できる耕作放棄地を探している』と問い合わせを受けたことがあります。それまでは、Googleマップで可能性のある土地を探し出し、法務局へ出向いて地番情報を取り寄せていたそうです。『そんな大変なことをしていたのか』と思いますし、同じようにこれまで地番を有償で、そして法務局へ足を運んで調べていた人はたくさんいるはずです。登記所備付地図がオープンデータになったことは大きな変革のきっかけになると思います」(坪井さん)
「農業分野でいえば、権利関係が見えやすくなり、所有者どうしで相談して法人に売却するなど、農地の集約化もできるようになると思います。また、農水省の地域計画も進めやすくなるでしょう。ほかにも空き家の確認といった利用も考えられます。東京都もこれまで地番図と現地確認を照らし合わせていましたし、行政で有償地図を買っていたところも多いですから、大きなコストがかかっていました。日本全国の地番を調べられるアプリがあったら、利用したい人はたくさんいるはずです」(坪井さん)
このアプリでは、東京都渋谷区から順次データを公開している。見慣れた場所も、地番という新たな視点と地図(Mapbox)を重ね合わせて見ると、「この区画はこんなふうに所有者が分かれているのか」というだけでも驚きがある。データは今後公開数を増やす予定で、ヘビーユーザー向けでシェープファイルでのダウンロードなどが可能な有償版と、閲覧のみの無償版というようにサービスを更新していくことを考えているという。
「登記所備付地図」というそっけない名称からは想像しにくかったが、高精度地図のオープン化を深掘りしてみると、そこには実に楽しい世界が広がっていた。まずは身の回りの再開発地区などを「どんな状態になっているんだろう」と見てみたくなる。公共の地図のオープンデータ化をきっかけに、新たなビジネスが生まれ拡大していくことが期待できる。