急務となった業務効率化に「RaaS」活用で取り組む山善
日々の生活に不可欠な物流の現場では、「人手不足」が喫緊の課題となっている。特に、働き方改革によるドライバーの時間外労働時間の制限に起因する「2024年問題」は、物流を生業にする企業に対して抜本的な業務効率化を迫っている。
その流れを受けて注目を集めているのが、ロボットを活用した物流の自動化・省人化だ。人の手では難しい重量物の運搬や、広い倉庫におけるピッキングの自動化などの作業などをロボットが肩代わりすることで、作業者の負担を軽減することなどが期待されている。 そんな中、ロボットを導入することで大規模物流拠点における「仕分け作業」の大幅な効率化を行った企業の1つに、山善がある。幅広いジャンルの商社としてさまざまな商品を取り扱う同社は、プラスオートメーションが提供する「RaaS(Robotics as a Service)」を活用し、作業の効率化に成功したとのことだ。今回は、その導入の背景や効果について、山善の担当者に話を伺った。
自動化の契機は得意先からの大型受注
山善は、工作機械や機械工具などものづくりの現場で活躍する"生産財"と、住宅設備機器や家庭機器などの「くらし」に関わる"消費財"を販売する専門商社だ。
同社は2021年11月、消費財販売における物流拠点「ロジス関東」(群馬県伊勢崎市)の省人化に向け、プラスオートメーションが提供する搬送ロボット「t-Sort」を活用した物流ソリューションを導入した。
山善の担当者によると、以前から物流業務の効率化に対する要求が高まっていた中で、t-Sortの導入に至るきっかけとして、得意先からの大型受注があったという。
「得意先に新たな商品群を販売することになったのですが、その販売アイテム数は800種類ほどありました。また、配送先となる店舗数も数百店舗と多く、商品配送における仕分け業務が非常に煩雑になることが予想されたため、そのタイミングで自動化に関する具体的な検討を開始しました」とのこと。従来は12名での作業を行っていた仕分け作業について、省人化を一気に進めるための検討を開始したという。