今回の手法の有効性に関して研究チームでは、半導体レーザを用いた実験において検証を行い、レーザにおけるカオス的遍歴を用いて強化学習が実現できることを実証したとする。また、多腕バンディット問題における探索(当たり確率の高いスロットマシンを見つけること)を行う際に、カオス的遍歴現象を用いることで、従来法よりも高効率に探索が行えることも確認したとする。
なお、今回示された方式は、レーザを用いた強化学習という点において、ほかの光情報処理方式と組み合わせた展開も期待できると研究チームでは説明しており、光通信ネットワークにおいて重要な役割を担う自律的な波長の割り当ての最適化において、今回の手法を用いた強化学習による高速化や高効率化などを例として挙げている。
また、今回の研究で提案された方式は実験的に実装できるため、今後は専用デバイスを開発することで、効率的で高速な強化学習用ハードウェアを実現できる可能性も秘めているともするほか、今回の研究成果は、レーザのみならず、脳のダイナミクスとして知られているカオス的遍歴を強化学習に利用できることを示唆しており、自立的に意思決定するAI技術の実現が期待されるともしている。