2023年、パネル価格はテレビ、IT系ともに上昇へ
同社によると、テレビ(液晶+有機EL)の出荷数は2017-2018年ころをピークに、近年は減少傾向にあるという。コロナ禍で巣ごもり需要旺盛とされていた2020年、2021年であっても出荷数自体は減少傾向にあった。そのため、テレビ市場を下支えしていたのはパネルサイズの大型化で、同社の計算では4-5年ごとに4000万m2ほど増加してきたという。
そのため、2022年はパネル面積の総量はマイナス成長となるものの、買い替えサイクルから予測すると、第10.5世代(G10.5)のパネル価格も下がってきているため50型以上を中心に伸びることが期待され、2024年には総量としては2億m2に到達することが期待できるという。
こうした市場背景から、2023年はパネル面積に基づく需要は前年比6.7%増、生産能力の増加は同3.7%増と需要の伸びが供給を上回ることが期待されるという。そのため、供給が2023年にはややタイトになると見られ、パネル価格はテレビが先行して上昇し、IT系(デスクトップモニター、ノートPCなど)が1四半期から2四半期ほど遅れて上昇することが予想されるという。
各社、生産能力よりも次世代技術投資へシフト
中韓台のメーカー各社は現在、単なるa-Siの生産能力の増強ではなく、有機ELやマイクロLED、QO-LEDなど次世代技術への投資にシフトしているという。従来、そうした最新技術をけん引してきたのはテレビだが、IT系にも有機ELの採用が進む気配があるという。
また、スマホの有機EL採用率は2022年で40%を超え、今後もシェア拡大が予想されるが、一方の液晶も技術革新が続いており、完全に撤退することはないと同社では見ている。スマホ分野における有機ELはSamsung DisplayとLG Displayが高いシェアを有しているが、近年は中国勢も中国地場のスマホメーカーでの採用を勝ち取るなど20%ほどシェアを獲得するようになっており、今後もさらなるシェア拡大を目指す動きを見せているという。