千葉大学は11月10日、太陽質量の約500倍の赤色巨星という、親星の性質が明らかになったケースとしては、これまでの記録を100億光年以上更新する観測史上最遠方となる115億光年彼方の超新星爆発を、重力レンズ効果を用いて発見することに成功したと発表した。
また、それぞれの重力レンズ像が地球へ到達した時間の差を利用することで、超新星爆発から約6時間後という初期の明るさに関する時間変化の把握に成功したことも併せて発表された。
同成果は、米・ミネソタ大学のWenlei Chen博士研究員、同・Patrick Kelly准教授、千葉大 先進科学センターの大栗真宗教授を中心とする国際共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」に掲載された。
超新星爆発は、ビッグバンを除けば宇宙最大の爆発現象として知られているものの、その物理的機構については解明されていない部分も多く、理論研究および観測研究が各所で進められている。特に、どのような質量や半径の星の死によってどのような種類の超新星爆発が起こるのか、つまり観測されるそれぞれの超新星爆発について、それらの親星の情報が得られれば、爆発の物理的機構を解明するのに大きな手がかりとなるとされているが、これまで親星の情報が得られていたのは、地球から数億光年以内の宇宙スケールで見た場合に比較的近傍の超新星爆発に限られていたという。
このような背景のもと、研究チームは今回、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された銀河団「Abell 370」(くじら座の方向、地球から42億光年)のアーカイブ画像を調査することにしたという。そして、2010年12月に観測された画像から、重力レンズ効果によって3個に分裂して観測された超新星爆発を発見したとする。解析の結果、それは地球から115億光年離れた非常に遠方の超新星爆発であることが判明した。