HI-ZEX MILLIONとLUBMERを同じ切削加工によりウォームギアホイールが作製され、ロボット指部に組み込み、関節を動かした際の消費エネルギーの比較が行われた。その結果、HI-ZEX MILLIONギアは従来の金属ギアと結果に大きな差が生じなかったが、LUBMERギアは金属ギアに比べて約3%のエネルギー消費低減が確認されたという。
ロボットの多くはギアを用いているため、機構を変更することなくその交換だけでエネルギー消費を約3%低減できるという今回の成果は、さまざまなロボットに利用可能だとする。また、LUBMERギアでロボットの腕や足を軽量化することで、ロボットのモータが同じでも、さらなる高速動作やダイナミックな動きを実現することが可能になるとも研究チームでは説明する。
さらに、LUBMERギアはエネルギー面だけでなく、その素材の特性として低摩擦、自己潤滑性も特徴であり、潤滑油をまったく必要としないオイルレス駆動が可能なことから、メンテナンスが容易となり、今後のロボットの実用化に向けて重要な技術となるとするほか、低摩擦の歯車は、走行時の騒音を低減するというメリットもあることから、静粛性の向上で、ロボットがより社会に受け入れられやすくなることも期待できると研究チームではコメントしている。
なお、一般的に、樹脂素材は金属よりも強度に劣るため、現時点では樹脂製のギアはそのまま用いると低負荷な部位のみにしか使用することができない。そのため今後は技術開発をさらに進めて、ロボットのほかの部位にもLUBMER製のギアを搭載し、より高負荷・高速でのエネルギー消費低減効果の検証や、UHMW-PEギアによるオイルレス駆動の実用性、低騒音効果など、付随する効果の検証を進めていく予定としている。