40PB超のデータをOracle Exadata Cloud@Customerに移行するDeutsche Bank

Catz氏の基調講演では、同社の顧客である金融のDeutsche Bank、食品のBimbo、製造のJohnson Controls、玩具のMelissa & Dougの幹部がステージに上がった。

Deutsche Bankは、40PB以上のデータをOracle Databaseに保有している。システムモダン化の一環として、その大部分をOracle Exadata Cloud@Customerに移行することが発表されている。

CTOのGordon Mackechenie氏は、目下の課題として、「技術への需要増」「既存のシステムのモダン化」「規制」の3つを挙げた。「技術への需要が増えており、これを満たしつつ、モダン化しなければならない。もちろん、安定性は損なわれてはならない」と同氏。

  • 「リスクとイノベーションは必ずしも対立関係ではない」と話すDeutsche BankCTO Gordon Mackechenie氏

同行では、新しい取り組みとして、コンテキストに基づいたバンキングソリューションの構築も進めている。ここではデータの活用が鍵を握っており、IoTを含めてさまざまなデータを収集し、「バンキングとファイナンスのテクニックの組み合わせ」による付加価値サービスを構築しているという。Mackechenie氏は、「リッチなインタラクションを適切に実現するには、データが重要」と続けた。

Oracleの技術により「コストとメンテナンス性が改善され、柔軟性も得られる」と話すMackechenie氏。クラウドについては、「OracleシステムはOracleの方がわれわれよりも上手に運用できる」という。Oracleとはイノベーションも共同で進めており、セキュリティでも協業しているとのこと。「すでに取り組みの成果を感じている。多面的に前進できている」と、同氏は語っていた。

Catz氏が「クイックに動くことはリスキーだが、動きが遅いと危険。リスクとイノベーションという対立しかねない概念をどう考えるか?」と問うと、Mackechenie氏は「リスクとイノベーションは必ずしも対立関係ではない」と答えた。

Mackechenie氏は「すべての銀行がイノベーションを求められている。既存の競合に加え、フィンテック、テクノロジー企業とも競争しつつある。そうした中、イノベーションは不可避だ。正しい方法でイノベーションができれば(リスクではなく)安全になる」とし、Oracleとのパートナーシップが役立っていると述べた。

Oracleのクラウド技術をフル活用しているOracle Red Bull Racing

Catz氏が最後にステージに招いたのは、Oracle Red Bull Racingのチームプリンシパル兼CEO、Christian Horner OBE氏だ。数日前、同チームのMax Emilian Verstappen選手は、「2022 FIA F1世界選手権シリーズHonda日本グランプリ」でワールドチャンピオンに輝いたばかりだ。

  • 「Oracleのクラウド技術をフル活用している」と話すOracle Red Bull Racingのチームプリンシパル兼CEO Christian Horner OBE氏

Oracleは2021年にRed Bull Racingのスポンサーとなり、2022年にはタイトルスポンサーとして関係を拡大した。Horner氏は、「ロゴをつけた途端に、勝ち始めた。(タイトルスポンサーとなった)今年もっと大きなロゴをつけたら、もっと勝つようになった」と笑った。

Red Bull RacingではOracleのテクノロジーをあらゆるパーツで使用しているとHorner氏。具体的には、ファンエンゲージ、レース戦略と判断、そして独自エンジンの設計・構築などで、「Oracleのクラウド技術をフル活用している」そうだ。

特にエンジンについては、提携関係にあったホンダのF1撤退を受け、「選択を迫られた」とHorner氏。「われわれがちょうど強くなり始めた頃だったので、ホンダの撤退は悪いタイミングだった」と振り返る。

結局、他のメーカーからエンジンの供給を受けるのではなく、自分たちで開発をすることを選択したが、これについては「シャーシも自分たちでやってみたらうまくいった。リスクのある選択肢だったが、正しいメンバー、正しい技術、正しい設備があればできると思った」とのことだ。元レーサーでもあるHorner氏は、「コンフォートゾーンからでなければならない」と付け加えた。

その結果、エンジンの設計・製造を12カ月で進め、2026年には実際のレースで使われる予定だという。「われわれは自らの限界を押し広げている。Oracleとの素晴らしいパートナー関係が支えている」(Horner氏)

Catz氏は、「Oracleという会社は、1番でなければ満足しない。”銀メダルでも負け”と言っている」と話し、「勝ち続けることを祈っている」とエールを送った。