そこで京セラは今回、特殊な技術を採用することで新たな基板を開発することにしたという。まず低コストで、大口径化が可能なSi基板上にGaN層を育成。その上にGaN層が成長しない材料でマスキングし、中央に開口部を形成する。その後、GaN層を成膜すると、マスキングしていない部分からGaNの成長核が開口部上に成長。成長核であるGaN層は成長する初期段階で欠陥が多く発生するが、それを横方向に成膜することで、欠陥密度が低く高品質なGaN層の成膜が可能となり、この低欠陥領域にデバイスを作製するというものだという。

新工法の優位性としては、以下の3点があるという。上述した3点の課題を解決する内容となっている。

  1. デバイス層(GaN層)の剥離が容易
  2. 欠陥密度が低く高品質なデバイス層(GaN層)の作製が可能
  3. 安価な製造コストの実現

まず(1)だが、GaN層が成長しない材料でマスキングすることにより、基板とGaN層の結合を抑制し、剥離が容易になるという。そして(2)では、従来より広範囲に低欠陥領域を成膜できるため、ばらつきのない高品質なデバイス層の作製が可能となるとする。さらに(3)では、安価であるSi基板からデバイス層(GaN層)の剥離を実現するため、製造コストの削減に貢献するとしている。

  • 今回開発されたGaN層を含む基板の新工法の概要図

    今回開発されたGaN層を含む基板の新工法の概要図 (出所:京セラWebサイト)

なお京セラでは、今回開発に成功した微小光源用のプラットフォーム技術(基板とプロセス技術)を幅広く提供し、近い将来、高品質で低コストな微小光源を市場投入することで、次世代のディスプレイ市場およびレーザー市場を変革させていくとしている。

  • 微小光源の活用事例

    微小光源の活用事例。(左)次世代車載用透明ディスプレイのイメージ。(右)ARグラスのイメージ (出所:京セラWebサイト)