京セラは10月17日、独自の成膜技術を応用し、GaN系微小光源を作製するためのSiベースの独自基板と、同基板を用いたGaN系微小光源の新しい工法(デバイスプロセス)を開発し、100μm長レーザーの発振を実現したことを発表した。
素子の一辺が100μm以下の光源は微小光源と呼ばれ、その代表的なものに、短共振器レーザーとマイクロLEDがある。これらの微小光源は、高精細、小型軽量という優位性から、次世代の車載用ディスプレイやスマートグラスへの活用、また通信、医療分野などへの応用も期待されている。特にマイクロLEDチップは市場規模の拡大が期待されており、2022年の約26億円に対し、2026年には約3700億円との予想もなされている。
従来のGaN系光源デバイスの作製には、サファイア基板やGaN基板が使用されている。その工程は、まず基板を1000度以上の高温に加熱し、原料となるガスを供給。そして、光源となるデバイス層のGaN層を成膜し、そのデバイス層を基板と一緒に分割することで作製されている。
しかし、さらに微細な光源を作製する場合は、以下の3点のような課題があった。
- デバイス層の剥離が困難
- 欠陥密度が高く品質にばらつきが出る
- 製造コストが高い
(1)は作製に関する課題。微小光源を作製するために、一般的には、基板上でデバイス層を1つ1つの光源に分割し、さらにデバイス層を基板から剥離することが必要だが、微小なデバイスを基板から剥離することは、極めて困難だったという。
(2)については、品質の課題。微小光源の作製では、サファイア基板やSi基板上に、デバイス層のGaN層を成膜するのは上述した通りだが、原子構造の異なるデバイス層を成膜するため、基板の影響を受けやすく、欠陥密度が高くなるという課題があったという。
(3)はコストの課題で、GaN基板やサファイア基板を使った製法は製造コストに課題を抱えていたという。しかし、サファイアより安価なSi基板を使うと、基板からデバイス層を剥離することが困難であるという(1)の課題がより顕著になってしまうという問題があったともする。