3種類の試作モデルをCEATEC 2022にてデモ展示

これらの試作品については、2022年10月18日より21日にかけて幕張メッセにて開催される「CEATEC 2022」にて実際に利用シーンをイメージしたデモ展示を行うことを同社では予定しているという。3インチモデルについては、カフェやレストランのテーブルに埋め込まれた空中ディスプレイから、メニューや決済用QRコードを表示するとしている。

また6インチモデルについては、モーションセンサと組み合わせる形で、指輪などの製品を立体表示させ、裏側などを自由に見せる形での紹介を行う予定としているほか、10インチモデルもモーションセンサと組み合わせ、魚が泳いでいる様子に対し、指を近づけると魚が寄ってきたりするといったエンタメ要素を持たせたものを披露するとしている。

同社がCEATEC 2022にこのような高精細空中ディスプレイ技術を出展するのは、「技術的なブラッシュアップの途中だが、出口の見極めが難しいため、現段階で発表を行い、アプリケーションとして使ってみたいというパートナーなどを見つけ、高精細だからこその価値を出せる市場やアプリケーションの見極めをしたいため」だという。

また、コロナ禍で生じた非接触ニーズという新たな商機を踏まえたサービスなども出てくることが期待されており、パートナーを見つけるのに良いタイミングであると判断したという背景もあるそうだ。

  • 京セラが想定している高精細空中ディスプレイの適用市場

    京セラが想定している高精細空中ディスプレイの適用市場。パートナー次第ではこれら以外にもさまざまな用途が考えられる (資料提供:京セラ)

パートナーとの共創により商用化を目指す

ただ、研究開発チームとしては、まだ試作の段階であり、商用化に向けては、例えばさらなるシステムの小型化が必要との見方を示している。具体的には、現行の試作システムの体積は3インチモデルで約4リットル、6インチで10リットル程度とのことで、やはりスマートデバイスなどに搭載しようと思えば、さらなる小型・軽量化が必要となる。また、実像サイズを大きくしようと思う場合、製作できるミラーのサイズに限界がくることが想定されており、その技術革新も必要とする。

そうした課題感から、同社では2026年度ころの商用化を目論むとしているが、パートナーとの連携がうまく進めば、ニーズ次第では、それよりも早く商用展開を行うことも可能だとの見方を示している。未来のディスプレイ技術をどのように育てていくか。その挑戦に向けた第一歩がまさにCEATEC 2022における同社ブースでのパートナー探索になってくるわけで、同社でも「動画で見ただけでは、実際の感覚が伝わらないところがあるので、実際にその目で見て、触れてみてもらって体感してもらいたい」としており、強い意気込みを見せている。