米国半導体工業会(SIA)は懸念を表明

これまでも自由貿易を阻害するすべての規制に反対してきた米国半導体工業会(SIA)は、10月7日(米国時間)にすぐさま声明を発表し、新しい輸出規制が米国の半導体業界に与える影響を評価中であることを明らかにした。

SIAは、国家安全保障を確保するという目標は理解するが、米国政府に「米国のイノベーションへの意図しない被害」を軽減するように声明の最後で促している。米国の半導体および関連企業は、世界最大の市場であり、米国企業にとっても大きな市場である中国から得た利益で研究開発を行い革新的な技術や製品開発を行ってきている背景があるが、過度な中国制裁により米国のイノベーションが阻害されることを以前から懸念し、貿易規制に反対してきた背景がある。

一方、韓国の通商産業資源部(日本の経済産業省)は、中国に半導体メモリの主力工場を持つSamsung ElectronicsやSK Hynixへの米国製半導体製造装置の納入が禁止されることを恐れてワシントンD.C.でロビー活動を強化していたが、今回の規制を踏まえ、「米国の措置は、海外企業による例外を許容しており、韓国産業界に及ぼす影響は制限的である」との見方を示しているといるが、各半導体企業の立場では米国商務省による個別審査など手続き的負担が生じる懸念があるとしている。

さらに、韓国通商産業資源部は「先端コンピューティングチップなどの規制対象品は国内での生産がなく短期的な影響はないと予想される。ただし、中長期的観点からは、韓国の人工知能(AI)企業が海外市場に進出する際などで制限がかかる可能性がある」との見方も示している。韓国政府は、10月13日開催予定の米商務省の公聴会に参加し、60日間にわたり募集するパブリックコメントでも意見を述べ、国内企業への支障が最小になるように支援すると同部Webサイトにてコメントしている。

なお、中国外務省は10月8日付の記者会見で、米国の新たな輸出規制強化策について「中国企業への悪意ある封じ込めと抑圧」とし、米国を非難している。