米国商務省産業安全保障局(BIS)は10月7日(米国時間)、先端半導体関連技術の中国への輸出規制を強化することを発表した。新たな規制に関する詳細は10月13日(米国時間)付で米国連邦官報に掲載され、段階的に有効になるという。
米国政府は、中国はスーパーコンピュータ(スパコン)や人工知能(AI)の開発に資源を注ぎ、軍事目的に利用するだけではなく、これらの能力を利用して、自国民を監視・追跡していると分析しており、中国の技術力を弱める狙いがあるとする。
このため、スパコンやAIなどに必要な先端半導体や特定の半導体製造装置を中国に輸出する場合、商務省の許可(ライセンス)を必要とし、安全保障上の懸念があれば輸出を認めないとしている。また、(米国から見て日本など)外国製の製品でも米国の製造技術を使っていれば輸出を原則認めない域外規制を行う。半導体チップのみならずソフトウェアや設計ツールや製造装置なども含まれる。
中国の半導体製造施設向けの特定半導体製造装置および関連製品の輸出には商務省の許可制とするが、中国企業が所有する施設への輸出に関して原則的に許可しない(原文では「否認の推定に直面することになる」)とし、多国籍企業(つまり中国から見た外資系企業)が所有する半導体製造施設の場合はケースバイケースで決定するとしている。
規制対象となる半導体チップおよびその製造に使用される装置は以下の通りに限るとしており、それ以外のレガシーデバイスおよびその製造に必要な装置には従来通り規制をかけないとしている。
- ロジック:16nmまたは14nm以下のプレーナー型ではないトランジスタ構造(=FinFETまたはGAAFET)を備えたロジックチップ
- DRAM:配線ハーフピッチが18nm以下のDRAM
- NAND:積層数128層以上の3次元NAND型フラッシュメモリ
このほか、新たな規制では米国人が、中国企業の半導体製造施設でライセンスなしにICの開発または生産を支援することも禁じている。
今回の半導体輸出規制強化に関してBISでは、10月13日の連邦官報掲載に合わせて、公聴会を開催し、輸出管理担当商務次官補のThea D. Rozman Kendler氏が今回の半導体輸出規制強化に関して説明する予定としている。