新開発の「惑星種族合成モデル」では、最新の惑星形成理論に基づいて惑星の質量成長や軌道進化を追い、その過程で獲得された水の量を計算することができる。また、従来考えられてきた含水岩石の獲得に加え、原始大気中の水生成の効果も採用されている点が特徴だという。
同モデルによる数値シミュレーションの結果、さまざまな位置に、大きさや大気量の異なる多様な惑星が生成されることが確認され、その中から、ハビタブルゾーンに存在する惑星を取り出して、獲得された海水量が調べられたところ、原始大気中の水生成が働く場合には、M型星を巡る系外惑星は非常に多様な水量を保持できることが判明。中には、地球と同程度の海水量を持つ惑星も形成されたという。これらの惑星の海水はほとんどが大気中の水生成によって得られたものだとする。
さらに解析が進められたところ、半径が地球の0.7~1.3倍の惑星の数%が、温暖な気候を維持するために適切な水量(地球海水量の0.1~100倍程度)を保持しているという予測が得られたとする。
今後の探査により、M型星のハビタブルゾーンを公転する地球ほどのサイズの系外惑星が、およそ100個は発見されるだろうと見積もられている。今回の研究成果は、その中の数個が地球のような温暖な気候を持つ海惑星であることを予測するというものとなるとするほか、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などによる、系外惑星の大気スペクトルの観測から、大気中の水分子などの存在も明らかにされていくことが予想されており、今後の観測によって今回の理論予測が検証され、地球のような海惑星が形成される過程の解明につながっていくことが期待されると研究チームでは説明している。