2種類の実証実験が公開
今回の発表に際し、同社では蕨市のOKIシステムセンターにて2種類の実証実験のデモを公開した。1種類目は、AI搭載の自律移動型テレプレゼンスアバターロボット「temi」にAndroidアプリとして「デバイスエージェント」を搭載。ロボットがマップデータに指定されたコースを巡回。ポイントごとに、指定されたチェック行動を実施する様子が披露されたほか、具合が悪くうずくまっている人を見つけた場合、警備員の持っているタブレット端末にアラートを通知し、速やかに人が現場に駆け付ける連携が可能であることが示された。
2種類目は、エレベータにサービスロボットが乗り、フロア間を移動するデモ。三菱電機ビルソリューションズとの共創によるもので、同日付で三菱ビルソリューションズからもプレスリリースが発表されている。
こちらは三菱電機ビルソリューションズのスマートシティ・ビルIoTプラットフォーム「Ville-feuille(ヴィルフィーユ)」を活用した「ロボット移動支援サービス」をREMOWAYの価値向上を目的とした取り組みで、Ville-feuilleのビル設備データを活用することで、ビル内で稼働しているサービスロボットが人の手を介さず、自身が乗るエレベータを呼び、目的フロアを選択して、フロア間移動を行うというものとなっていた(移動先のフロアマップなどのデータは携帯通信網で切り替えを行っているとのこと)。
エレベータとサービスロボット連携は、すでに一部商用化され、2021年には有人状態のエレベータにロボットが乗車を試みたものの、センサがかご内に十分な広さがないと判断し、安全な距離を保とうとした結果、エレベータ乗車位置付近でとどまってしまい、かご内の人が外に出れないという事象が発生したことも記憶に新しい。三菱電機ビルソリューションズのようなエレベータメーカー側も、そうした問題を認識済みで、解決に向けた取り組みに着手しているとのことで、今後の動向が注目される。
多様なロボットを1つのプラットフォームでしっかりと運用管理
OKIがREMOWAYについて2024~2025年に社会実装を目指すとする背景には、近年のサービスロボットの市場での活用範囲の拡大がある。
サービスロボットの活用が進めば、上記のエレベータで生じたような運用に問題が生じる例も多く出てくることとなる。OKIでも、「運用に対する市場ニーズが高まってきている」との見方を有しており、この機会を捉える中で、自社としてビジネスとしてしっかりと展開できるであろうと見据えた時期がこのタイミングであったという。
同社では多種多様なベンダのロボットを1つのプラットフォーム上でしっかりと運用管理できるようにすることを目指して、マルチベンダ対応なども加味して商用化の時期までにブラッシュアップを進めていく予定だという。
なお、同社では2022年10月12日に「OKI Innovation World 2022」をリアルイベントとして開催する予定で、同会場では複数ベンダとの連携した形でのデモを実施する予定としている。