東京大学(東大)、アストロバイオロジーセンター(ABC)、国立天文台(NAOJ)の3者は9月7日、太陽系から約100光年の距離にある赤色矮星「LP890-9(別名:TOI-4306、SPECULOOS-2)」の周囲に2つのスーパーアースを発見したことを発表した。

同成果は、東大大学院 総合文化研究科 広域科学専攻・附属先進科学研究機構の成田憲保教授、同・広域科学専攻の渡辺紀治特任研究員、ABCの平野照幸助教、東大大学院 総合文化研究科 広域科学専攻・附属先進科学研究機構の福井暁彦特任助教ら日本人研究者も15人以上が参加する国際共同研究チームによるもの。詳細は、天文学と天体物理学を扱う学術誌「Astronomy & Astrophysics」に掲載された。

存在が確認された系外惑星の数は2022年3月に5000個を突破し、現在もNASAの科学衛星「TESS」による、トランジットを用いた全天での系外惑星(候補)サーベイが行われている。トランジットは、恒星の前を惑星が通過することで影ができ、かすかに恒星の明るさが減光するのを周期的に検出することで、系外惑星候補を探すという手法で、このTESSのサーベイにより、少なくとも天の川銀河においては全恒星のおよそ4分の3を占めると見積もられている赤色矮星のハビタブルゾーンを公転する、地球のような惑星の発見が期待されている。

今回惑星が発見されたLP890-9は、TESSによる観測で周期約2.73日の減光が発見され、トランジット惑星候補「TOI-4306.01」という名前で2021年7月21日に世界に公開された。

TESSなどで周期的減光が確認されたからといって、即座に系外惑星として認定されるわけではない。周期的減光は、連星系において2つの恒星がお互いに隠し合う(食を起こす)食連星でも起こり得るためで、地上の望遠鏡を用いてより精密な追観測(発見確認観測)を行い、系外惑星か食連星か見極める必要があるとされている(恒星の表面現象の可能性もある)。

成田教授が研究代表者を務める日本のMuSCATチームは、TESSの公式追観測プログラムであるTFOPに参加しており、ベルギーの研究者らによるSPECULOOSチームとともに、それぞれ独立に2021年8月以降、このTOI-4306.01の追観測に取り組んだ。