半導体露光装置の稼働率向上に貢献
杉山氏によると、現在、半導体工場で稼働する露光装置の稼働率は、およそ98%を維持しているという。Lithography Plusは、稼働停止となる2%の時間をより短くするための機能として、さまざまなトラブルに対する対応策を搭載しているとのことだ。
特に注力したのは、実際に装置が稼働している状態をより長く保つことだといい、半導体露光装置内から得たリアルタイムデータをもとにした予知保全や、エラーが起こった際の装置内での自動復旧などを行うという。
また自動復旧で対応できない場合には、エラーの種類に応じた対応方法の動画マニュアルを自動で表示するといい、作業者の業務レベルによらない最短での復旧作業を可能にするとしているほか、それでも改善できない場合には、キヤノンのサポートエンジニアに装置の最新の状態が共有され、状況に応じた対応を行うとのことだ。
高い歩留まりの実現を支援
半導体生産においては、製品の歩留まりを最大化することが求められる。Lithography Plusでは、その歩留まりを向上させるための2つ機能を搭載しているとする。
半導体露光装置で露光を行う際には、装置内に設置されたウェハから必要な情報を計測し、そのデータから位置合わせや線幅制御設定などを自動で最適化したレシピを、順位付けして複数表示するという。また量産中においても、リアルタイムでデータを収集することで異常を自律監視し、高い歩留まりを維持するとのことだ。
これらの機能により、装置の導入から量産開始までの時間を短縮することで歩留まりを向上させ、量産中でもその維持に貢献可能だとした。
半導体製造の業務プロセス転換へ
また杉山氏はLithography Plusの優位性として、多くのデータを収集できる点と、業務ノウハウをサービスの中で蓄積していく点を挙げたほか、岩本氏が「近年の半導体業界は流れが速く、従来の業務プロセスからは1段階成長させなくてはならない時期に来ている」と業界を取り巻く状況を説明。Lithography Plusについて「半導体露光装置に関する業務プロセスを転換させ、エンジニアがより高次元の作業に集中できる環境に貢献したい」と意気込みを語ってくれた。