九州工業大学(九工大)は8月30日、国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」から学生プロジェクトチーム「九工大衛星開発プロジェクト」が開発した超小型衛星「FUTABA(ふたば)」が、8月12日18時45分に放出され、翌13日7時に同衛星から発信された電波を受信し、正常に機能していることを確認したことを発表した。
FUTABAは、2022年7月15日にSpaceXのFALCON 9ロケットで打ち上げられ、同月17日にISSに到着。そして、モルドバ初の人工衛星となるモルドバ工科大学の「TUMnanoSAT」、SpaceBDの「HSUSAT1」の2機とともに放出され、高度最大418km・傾斜角51.6度の円軌道に無事投入された。
FUTABAは今後、2023年8月の運用終了まで、およそ90分で地球を1周しながら、「鉛フリーはんだのウィスカ検証実験」と「磁気トルカを用いた3軸姿勢制御」という2つのミッションを遂行していく。運用終了後は大気圏に突入する計画だという。
FUTABAは、幅100mm×奥行き100mm×全高113.5mmの超小型衛星で、質量は1050g。過去に九工大で開発された小型人工衛星の「鳳龍弐号」(2012年5月打ち上げ)や「AOBA-VELOX-III」(2017年1月打ち上げ)をベースに開発され、鳳龍弐号、AOBA-VELOX-IIIと引き継がれたバスシステムを継承している。バスシステムのスペックは以下の通り。
バスシステム
- 基板搭載コンピュータ(OBC):PIC16LF877Aマイコン、PIC18LF4620マイコン
- 電源系(EPS):ニッケル水素二次電池(3直1並列パッケージ)
- バッテリ:4.2V、2000mAh
- 平均出力:約1.5W
- 通信系(COM・アマチュア無線):ダウンリンク/UHF(437.375MHz)、アップリンク/UHF
- 姿勢制御系:ジャイロセンサ、磁気センサ、太陽センサ、磁気トルカ