得られた画像を用いて、同じ時代の銀河を選択しやすいことから、透明度を調べた際と同じ時代の「ライマンアルファ輝線銀河」を検出してその分布が調べられたところ、ライマンアルファ輝線銀河は再電離の進行が早い領域では多く、遅い領域では少ないことが密度分布から明確に示されたという。この結果は、再電離の進行が早い領域ほど銀河密度が大きいという紫外線輻射場のゆらぎを原因とするモデルの予測と一致するという。
より定量的に調べるため、先行研究のデータも合わせたところ、銀河密度と宇宙の透明度の関係は、ガス温度のゆらぎを原因とするモデルよりも、紫外線輻射場のゆらぎを非一様性の原因とするモデルの予測に近いことが確認できたという。これにより、再電離の進行が空間的に非一様である原因は、紫外線輻射場のゆらぎであることが、もっともらしいといえることが示されたとする。
なお、より詳細な成果を得るためには、これまで調べられたのは赤方偏移5.7の時代のみであることから、さらに古い時代の観測も必要だとしている。また、今回用いられたライマンアルファ輝線銀河の性質による影響が含まれる可能性も捨てきれないとしている。
今後、すばる望遠鏡で建設中の超広視野多天体分光器「プライム・フォーカス・スペクトログラフ」を用いて、今回の研究で発見された銀河の分光観測を行うなど、奥行き方向も含めた詳細な空間分布を調べたり、NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でさらに暗い銀河を観測したりすることによって、より一層、宇宙再電離の理解が進むと期待されると研究チームでは説明する。また、初期宇宙がどのような変遷を辿ったかを知ることによって、天の川銀河や宇宙そのものが、どのように形作られてきたのかという疑問の解明へとつながることが期待されるともしている。