その結果、水中で生活する魚では、肺がつながっているのは1つの気管(吸気管)のみで、肺を2つ持つように見える場合は1つの肺が発生過程で二次的に拡張したものであることが判明。一方、陸上で生活する有尾両生類の肺はヒトと同じように2つに分枝した気管支が左右の肺に接続する「対肺」であることが示された。

系統図上で比較すると、魚から陸上脊椎動物へ進化した系統で、肺が1つから2つ(対肺)へ変化したと推定されるという。この形態進化は、肺の内部の表面積を広げるのに貢献し、陸上での呼吸の効率向上に結びついたことが考えられるとしている。

  • 肺はもともと1つ

    肺はもともと1つで、チョウザメなど多くの魚類では「うきぶくろ」にかわり、両生類になって初めて真の1対の肺(対肺)ができたことが判明した (c) 北九州市立自然史・歴史博物館 (出所:慈恵医大プレスリリースPDF)

なお、脊椎動物が水中から陸へと進出する過程で肺が2つに変化したという進化過程は、それらの子孫である現在の陸上脊椎動物の多くが肺を2つ持つことと整合的であり、この非対肺から対肺への進化が、陸上での繁栄に結びついた可能性も考えられるとしている。

研究チームでは、今回の研究成果をもとに、非対肺から対肺へと変化した分子メカニズムの解明を進める予定としている。