その結果、同材料を薄膜面内方向に2%圧縮させた場合、プロトン伝導度が10万分の1に低下することが判明したという。

また、この結果をもとに、格子歪みとプロトン伝導度の関係を定量的に示すモデルが構築され、実際の高性能燃料電池におけるプロトン伝導度の予測が行われたところ、報告された値と一致することが確認されたという。

  • 面内圧縮歪みによる、プロトン拡散障壁の増加の模式図

    (左)面内圧縮歪みによる、プロトン拡散障壁の増加の模式図。(右)実際の燃料電池における歪みがシミュレーションされ、どの程度プロトン伝導度が減少するかの予測が行われたところ、実験報告値と予測値が一致し、歪みがプロトン拡散抑制に寄与していることが示唆された (出所:九大プレスリリースPDF)

これは、プロトン伝導性セラミクス燃料電池における電解質-電極界面歪みが、課題となっている高い抵抗の原因であることを示していると研究チームでは説明しているほか、界面歪みが小さな燃料電池セルを構成することによって、燃料電池性能を最大化できることが示されているともしている。

なお、研究チームでは、今回のモデルを指針とした界面歪みの低減により、中温動作燃料電池セル性能の最大化やさらなる高性能化が期待されるとしている。