半導体チップは戦略的に重要であり、内製することが必要ということで、米国はCHIPS法などを作って半導体を国内での製造に力を入れている。半導体の内製に関して今回のHot Chips 34においてIntelのCEOのPat Gelsinger CEOが基調講演を行った。
次の写真は1995年に開催されたHot Chips 7のプログラムのページのコピーである。第7回のHot Chipsの基調講演はムーアの法則で有名なIntelのGordon Moore氏の“Nanometers and Gigabucks”と題する講演である。
なお、Hot Chips 7のセッション2はx86 Processorsで、IntelのP6やAMDのK5が発表された。そしてセッション3はRISC-1という名前のセッションで、最初の2つの論文がHALというスタートアップのSPARC64というプロセサの論文である。そして、その次がHPのPA-8000 RISCの発表であった。
HALという会社は富士通が出資していた会社でSPARC64の開発は筆者も参加した個人的には懐かしいプロジェクトである。この頃は、日本の会社もアメリカにチームを置いてプロセサの開発を行って居たのであるが、今は見る影もなくなっている。安全保障の観点から考えるならばどうすべきかを考える必要があるのではないかと思う。
話をGelsinger氏の基調講演に戻すと、半導体は非常に重要なコンポーネントであり、供給が止まると経済のすべての分野をストップさせてしまうリスクがある、と書かれている。したがって、米国政府は、米国の半導体のサプライチェーンを維持することが必要であり、そのために財政支出などを可能にするCHIPS for America法(CHIPS法)という法律を成立させ米国半導体メーカーの支援に乗り出した。
国として技術分野でスーパーパワーになるにはプロセサ、通信LSI、インフラ用チップ、AIチップなどを十分な量、持つことが必要としている。
そのためには半導体ウェハだけでなく、パッケージ技術、チップレット技術、ソフトウェアも必要と指摘している。
ムーアの法則は、もう終わりと言われるが、Gelsinger氏は、ムーアの法則はまだ元気に活躍していると述べている。現在のパッケージあたりの集積トランジスタ数は1000億個程度だが2030年には1兆個トランジスタへの増加が見込まれるという。