同成分をショウジョウバエに食べさせたところ、通常食に比べ平均寿命が4日(14%)程度増加することが確認されたとする。これを2021年の日本人男女の平均寿命に当てはめれば、男性は81.47年が92.88年と90年を超え、女性に至っては87.57年が99.83年となるという。
また、研究チームはこれまでの研究から、ぶどう種子に含まれる成分「レスベラトロール」でもショウジョウバエの寿命の延長効果を確認していたことから比較を実施。その結果、脂肪酸トリプタミドの方がより強い効果が示されたとする。
カカオにはさまざまな有効成分が含まれており、代謝性疾患の予防食として期待されているほか、定期的なカカオ摂取は健康寿命を延ばすと長らく考えられてきた。一方で、その直接的な成分などについての知見はこれまで得られていなかったという。
なお、チョコレートやココアに含まれる「カカオポリフェノール」は、活性酸素を抑制し、生活習慣病に有効であるとの報告が多くある。それに加え、コレステロール値の改善や血圧低下および血管内皮機能の改善、心疾患リスクの低減、インスリン抵抗性の改善といった多岐にわたる臨床試験結果もさまざまな研究によって得られていることから、研究チームでは、今回の研究成果は、カカオの継続的摂取が寿命の延長と同時に、これら生活習慣病を予防し、健康寿命の延伸につながる可能性を示すものだとしているほか、特定成分である「脂肪酸トリプタミド」がサーチュインを活性化し、ハエの寿命延長を確認したことは学術的にも意義深いと考えられるとしている。