SPA使用群と対照群で有意な差が見られた

今回の実証試験では、睡眠の問題を自覚している116名を対象に対照試験を実施。60名に対してSPAでの介入を行い、一方の56名を対照群として、それぞれの睡眠について調査が行われた。

睡眠に関する主要評価項目としては、睡眠の満足度など7項目の得点をもとに総合得点を算出する不眠重症度質問票(ISI)を測定し、副次評価項目として、身体的疲労と精神的疲労の計14項目についての合計スコアにより疲労評価を行うチャルダー疲労スケール(CFS)を測定したとしている。

実証の結果として、両グループともにISIの得点は改善したものの、SPAが介入したグループの方が改善の幅が大きく、特に不眠症状が重い集団についてはより大幅な改善が見られたとのことだった。

  • キャプション

    全被験者における主要項目評価の推移(提供:京都大学)

  • キャプション

    不眠症とされる対象者における主要項目評価の推移(提供:京都大学)

行動変容技術をヘルスケア全体に活用へ

これを受け降籏准教授は、SPAを使用した全被験者においてISI得点の有意な改善が見られたとし、SPAの有効性が示されたとする。そして併せて「今後は年齢層や文化的背景が異なる対象者においても幅を広げ、さらなる研究を行う必要がある」とした。

  • 京都大学の降籏隆二准教授

    京都大学の降籏隆二准教授(提供:京都大学)

またOKIの櫻田孔司氏は今後の展望として、「今回提供した行動変容技術は、不眠の改善以外のヘルスケア分野に適応が可能であり、すでに複数の実証活動を進めている。さまざまな社会課題に適応することで、解決に貢献していきたい」と語った。