アメリカ・アリゾナ州フェニックスに本社を構えるonsemiは、世界各地に拠点を持つ半導体メーカー。2022年、その日本法人の新たなトップに就任したのが林孝浩氏だ。
20年近く在籍したマキシム・ジャパンで代表取締役社長に抜擢された経歴を持つなど、長く半導体業界に携わる林氏は、米onsemi日本担当セールスのバイスプレジデントと兼任する形で、onsemi日本法人のトップに就任した。
社長として企業に入社するのは今回が初めてのこと。そんな林氏に、onsemiの動向や日本法人のトップとして掲げる目標について伺った。
onsemiの現在地と日本市場の展望
onsemiは2021年、同社の過去最高となる約67億ドルの売り上げ高を記録。前年比で約128%の成長を遂げている。さらに2022年に入っても順調に推移しており、第1四半期(1~3月)の売上高は約19億ドルで、四半期の売り上げとして過去最高を更新しているとのことだ。
その中でも、総売上の4割弱に上るオートモーティブ領域と3割弱を占めるインダストリアル領域を注力分野としており、これら2つの領域のみに絞ると売り上げは前年比40%以上で成長しているという。
また同社の地域別売上として、アジアが約6割を占める中で日本での売り上げが約7%に留まることについて、林氏は「少し寂しい値に見えるかもしれないが、これは日本に出荷したものに限った数値であり、日本企業の海外工場に出荷されたものなどは別地域として計上されている」としており、実際には数字以上の存在感をもつとのことだ。
日本法人のトップとして求められる役割とは
さて、このような状況下で日本法人のトップに就任した林氏だが、本社から与えられたミッションは、世界における売上割合の向上ではないとする。
「日本でのデザイン活動を広げて売り上げを伸ばすことがミッションだが、世界における日本の売上割合を10%にすることが我々のゴールではない。製品を提供した企業にメリットをもたらすために、デザイン能力の向上によってレベニューを上げていくことが役割になる」と説明した。
日本の自動車産業は本社も重要視
日本での事業展開で特に重視されるのが、EVや自動運転におけるイメージセンサの需要が急拡大を見せるオートモーティブ領域だという。
林氏は、自動車業界において世界的にも大きなシェアを持つ日本では、オートモーティブ領域の売上割合がほかの地域に比べ大きく、今後も伸びていくことが予想されるとする。
onsemi本社としても、自動車領域における日本市場は重要視しているとのことで、「新しいテクノロジーに敏感で、より厳しい性能水準が求められる日本での要求は、重要で特別なものだと米本社も認識している。その環境で培った自動車の技術や製品を、日本だけでなく世界に向けて展開することで売り上げを伸ばしていきたい」と語った。