また、今回の観測では1天体あたりおよそ20分間の動画撮影が行われ、32天体の自転周期の推定に成功したという。そのうちの13天体は、60秒以下の周期で高速自転していることも確認されたとする。
なお、ヨープ効果を考慮すると、直径10m以下の微小小惑星は自転周期10秒以下にまで回転が加速されることが考えられるが、実際に今回の観測で発見された自転周期10秒以下の小惑星は1天体のみであり、自転周期10秒以下にまで加速するというヨープ効果を考慮した予測にはそぐわない結果であったという。そのため研究チームでは、観測で得られた自転周期分布を説明しうる仮説の検証を重ね、近年提唱された小惑星の表面に沿う方向の熱伝導を考慮した「接線ヨープ効果」により、観測結果を説明できることが示されたとしている。
研究チームでは、今回の研究成果について、微小小惑星の自転状態の観測から、地球近傍小惑星がどのような作用を受けながら地球の至近距離までやって来るのかという、力学進化の解明につながることが期待されるとしている。