OKIが発表したDX新戦略のフラグシップ工場

OKIは7月6日、同社が公表したDX新戦略のフラグシップファクトリー「OKI本庄工場H1棟(以下、H1棟)」が稼働を開始したと発表した。

  • OKI本庄工場H1棟

    OKI本庄工場H1棟(提供:OKI)

OKIの本庄工場は、1962年に創業を開始。電話機、電話交換機の生産から始まり、現在では、通信端末などの製造を行っている。

本庄工場の新棟として設立されたH1棟は、総工費は約60億円、地上2階建てで約400名が働く予定だ。H1棟の主な生産品は、通信端末やAIエッジコンピュータといったOKIの製品だけでなく、EMS(製造受託)/DMS(設計受託)も担う。

H1棟は、製造工場だけでなく、OKIのDX新戦略のフラグシップファクトリーという顔も併せ持つ。

同社は、2022年6月にDX新戦略として「新ソリューション創出」「組織の変革」「業務プロセスの変革」「既存ソリューションの強化」の4象限に注力していくと発表していた。DX新戦略では、OKIの現場で生み出されたDX事例を積極的に外部に売り出していく方針も打ち出していた。

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H1棟はAI画像解析技術や外観異常検査システム、作業行為判定システム、協働ロボットや自社開発の自動搬送システムなどを導入。同工場の生産性の向上を図っているだけでなく、同工場で実証されたDX技術やプロセス、ノウハウを製品、ソリューションとしてOKI内部だけでなく、外部にも提供し、クライアントの製造部門などにおけるDXを支援していくという。

  • OKI本庄工場H1棟のテープカットの様子

    OKI本庄工場H1棟のテープカットの様子。写真中央は、OKIの代表取締役社長執行役員の森孝廣氏

AIエッジコンピュータを用いた外観検査や行為判定を導入

H1棟では、さまざまなDXに関する取り組みを行っている。AI画像解析による外観検査異常判定もその1つだ。

H1棟の製造品の1つ、OKIが開発・製造を行っているAIエッジコンピューターの組み立てラインでは「OKI プロジェクションアッセンブリーシステム」と外観検査異常判定を導入している。

プロジェクションアッセンブリーシステムはプロジェクターを用い、組み立て順などを作業台に投影することで、作業ミスを防ぎながら、組み立て効率を上げることができるシステム。OKIの生産現場で開発された同システムは、OKIの富岡工場で約200台以上が稼働しているほか、自動車メーカーなどの他社工場にも多数外販の実績があるという。

  • プロジェクションアッセンブリーシステム

    手順などを作業台に投影することで作業支援を行うプロジェクションアッセンブリーシステム

また作業台には、高精細カメラが取り付けられており、カメラの映像をAIエッジコンピュータで画像処理および判定することで、「基板検査」「ラベル検査」「トップカバー検査」を実施している。

基板検査では、ネジの有無やネジが正しい位置に組み付けられているかを検知。ラベル検査では、ラベルに印字された文字の欠けなどを検知する。トップカバー検査では、外観上のキズを検知するという。

  • こちらはトップカバー検査の例だが、組み立てが終わった製品を置くと、上部のカメラ映像からキズの判定を行う

    こちらはトップカバー検査の例だが、組み立てが終わった製品を置くと、上部のカメラ映像からキズの判定を行う

  • 判定結果はモニターに表示されるとともにローカル5G回線を用いて品質管理サーバに送付される

    判定結果はモニターに表示されるとともにローカル5G回線を用いて品質管理サーバに送付される