さまざまな研究の結果、鉄、ニッケルおよびタングステンを含む混合金属酸化物「FeNiWOx」が、高活性かつ安定的に酸素を発生させる触媒として働くことを見出したという。
具体的には、FeNiWOx電極を酸素発生アノードとして、白金水素発生カソードと組み合わせたセルが作成され、水電解を実施したところ、従来の水電解セル(315mV程度)よりも低い過電圧(240mV)で水電解を達成することに成功したという。
また、GaAs太陽電池は、安定で高い太陽電池の太陽光-電気変換効率を示すことが知られているが、その起電力が水分解には不充分であり課題があったが、今回開発された水電解セルは低過電圧で作動するため、2接合型GaAs太陽電池の起電力でも水を分解できることが確認されたともしている。
実際に2接合型GaAs太陽電池と水電解セルを用いて、疑似太陽光(1sun)照射下での太陽光水分解が行われたところ、13.9%という世界最高クラスの太陽光-水素変換効率(最新の太陽光-水素変換効率は6.1~16%とされている)で1か月間に渡り、安定した状態で水から水素を製造できることが実証されたという。
研究チームでは、この高い太陽光-水素変換効率は、水電解セルの高い電解効率(水電解セルの電気-水素変換効率85%)と水電解セルと太陽電池の最適マッチング(太陽電池と水電解セルの最大出力の比99%)によって達成されることも判明したとする。
なお、研究チームでは今後、水電解セル、および太陽電池を改良した太陽光水分解システムを開発していくことで、25%を超える太陽光-水素変換効率を目指すとしている。