次にGPUであるが、TCS21ではMali-G310/G510/G710という組み合わせだった。これがTCS22では「Mali-G615」と「Mali-G715」、それとまったく新しい「Immortails-G715」の3製品となった(Photo05)。

  • ローエンド向けには引き続きMali-G310が使えるのかもしれない

    Photo05:もっともこれ、ローエンド向けには引き続きMali-G310が使えるのかもしれない

このうちMali-G615とMali-G715はそれぞれ既存のMali-G510/G710の延長というか高性能版という扱いであるが、トップエンドにあたるImmortails-G715はArmのGPUとしては初のRay Tracing機能を実装した製品となっている。このImmortails-G715の発表にあわせて紹介の動画まで公開されているが、現状あまり詳しい説明は行われていない。ただ、既存の製品に比べてさらに性能が向上している(Photo06)としている。ちなみに対応するAPIはVulkan Ray Tracingで、DirectX Ray Tracingへの対応予定は今のところないとの事だった。

  • Ray Tracing

    Photo06:気になるのはむしろRay Tracingの性能であるが、これはそもそも手頃な指標が無いので、どの程度の性能なのか? と問う方も答える方も困ってしまうのが現状の課題である。あと、型番が同じあたり、単にMali-G715にRay Tracing Unitを追加したものがImmortails-G715ではないか? という気もする

改めてTCS22の構成をまとめたのがこちら(Photo07)である。TCS22全体での性能をTCS21と比較したのがこちら(Photo08)で、消費電力を下げながら、より性能を高められたとする。説明ではこれに続く2024年までのTCSのロードマップに示された(Photo09)。

  • ターゲットプロセス

    Photo07:ターゲットプロセスは5nmか4nmあたりだろうか? さすがにまだ3nmのPOP IPが提供されるとは考えにくい

  • DRAM Traffic Reduction

    Photo08:DRAM Traffic Reductionが、単にLPDDR5への移行でフル帯域に対する実効トラフィックの割合が下がったという話なのか、L3の大容量化が効果的に作用したという話なのか、それとも他の話なのか、現状では判断がつかない

  • TCS23ではHayden DSUに刷新されている

    Photo09:CPUやGPUコアだけでなく、TCS23ではHayden DSUに刷新されているあたり、さらにコア数を増やせる可能性がある。TCS24では、共通なのはMMU-700のみといった感じで、Interconnectも刷新されるようだ

また今後の方向性として、まず機械学習(ML)がより広範に使われると予測される事(Photo10)、よりSecurityへの関心が高まる事(Photo11)やWindows on Armへの展開(Photo12)などにも触れられており、この辺りも今後は多少なりとも新しい話が出てくるかもしれない。

  • GPUのML性能を引き上げている

    Photo10:以前はこの用途向けにEthosを、という話がメインだったが、今回のTCSのロードマップもEthosが入っておらず、その一方でPhoto06にもあるようにGPUのML性能を引き上げている辺りは、Armとしても苦労している部分なのかもしれない

  • 既存のCCAベースのソリューションが今後も提供されると思われる

    Photo11:ただここは別に新しいものが入る訳ではなく、既存のCCAベースのソリューションが今後も提供されます、という話と思われる

  • 「Android向けのエコシステムに専念する」という返事であった

    Photo12:ただArmとしては今すぐこれをどうこう、という話ではなく「Android向けのエコシステムに専念する」という返事であった