北大は2台の脳磁計を所有している稀有な研究機関だという。具体的には、Elekta Neuromag製の101ch脳磁計(カスタマイズ機)を所有し、北大病院が同じメーカーの306ch脳磁計「Vector View」を所有しているとのことで、それらの脳磁計は、脳から自然に発生する磁場を高感度の磁力計で計測して脳の活動を可視化し、1/1000~1/100秒の脳活動も記録可能だという。
今回の研究では、500m離れて設置されたその2台の脳磁計が光ファイバー通信で接続され、仮想対面している2人がコミュニケーションしている際に脳活動を同時に計測できるよう機能が追加されることとなった。
視線やまばたきも重要なコミュニケーション手段であることから、双方の視線が合致するハーフミラーシステムや、音声と画像の伝送時間を合わせるシステムを用意。音声は5ミリ秒以下、画像は100ミリ秒以下で相手に伝送され、脳磁計に座った2名がまったく違和感なく対面・対話を行えるという。また、アバター化して対面・対話する機能も備えられているとのことで、すでに自然なコミュニケーション状態で2人が対話しているときの脳機能が計測できることも確認済みだという。
なお、新型コロナの流行によって、オンラインコミュニケーションが一般化したが、これが対面コミュニケーションとどう違うのかはいまだに良く分かっていない。そのため、研究チームでは今回新たに追加した機器などを活用することで、顔や表情を自在に変更できるオンラインコミュニケーションが今後どうあるべきかの指針が得られるとともに、自閉スペクトラム症などのコミュニケーション障害の評価・支援ツールとなっていくことが期待されるとしている。