パナソニックコネクトは、「可視化」「標準化」「最適化」に強みの下で100年以上にわたって取り組んできたインダストリアルエンジニアリング(IE)と、先述したテクノロジーによるデジタルトランスフォーメーション(DX)を融合した「現場プロセスイノベーション」の実現を目指している。
具体的には、センシングやネットワーク、AIなどの独自技術を活用し、製造から物流、小売業それぞれの現場を最適化していくことを目指す。さらには、2021年9月に約8000億円で買収した米Blue Yonder(ブルーヨンダー)のAIを活用したソフトウェアプラットフォームを組み合わせ、各現場の最適化だけでなくサプライチェーン全体を最適化していく。
最終的なゴールは、需要・供給の変化をリアルタイムに把握し、現場作業の最適化や省人化を自律的に図る「オートノマスサプライチェーン」の実現となる。
パナソニックコネクト 現場ソリューションカンパニー エグゼクティブコンサルタント エバンジェリストの一力知一氏は、「ボトルネックを抽出し現場課題の仮説を立て、その仮説が正解だったのか否かをテクノロジーで可視化して分析する。そして業務プロセスを一つ一つ標準化し最適化していく。このサイクルを回し続け、大量にあるサプライチェーンの課題を徐々に解決していく」と述べた。
では具体的に、物流現場にはどのような課題が存在するのだろうか。この問いに対して、一力氏は「リソースのバッファ、作業間の待機時間、低積載のトラックなど、とにかくムダが多い」と答えた。
例えば、業務量の予測が難しい現場では、遅れや不足に備えて常時多めのリソース(人やモノ)でオペレーションを組むことがあるといい、「変化に柔軟に追随するリソースがとれない」(一力氏)ことが課題の1つだ。
また、倉庫内で作業が同期されずにモノが滞留してしまうことも大きなボトルネックだ。一力氏は「例えば、商品Aと商品Bの両方を出荷するとき、AよりBの準備が遅ければ待ち時間が発生する。Aは仕分けが終わっているのにBが来るまで倉庫で待ち続けないといけない」と具体例を説明した。逆に、到着済みのトラックを待たせる状況もあり得るだろう。積載量が低い中での配送もしばしばみられる課題だという。
パナソニックコネクトは今後、今回紹介した4つのテクノロジーを活用した現場最適化ソリューションを展開していく。適切なリソースでより多くの荷物を運べる物流を目指すとのことだ。
一力氏は「企業の競争力には『オモテ』と『ウラ』があり、多品種化が進むSCM領域において『ウラの競争力』であるオペレーション能力が重要だ。当社のIEとDXを駆使し、裏の競争力を今後も鍛えていきたい」と熱く語った。
約5000平方メートルとコンビニエンスストアの約50店舗分の広さをもつ彩都パーツセンターには、パナソニックが100年以上培ってきた技術が集約されていた。同社が作り出すサプライチェーンの世界に今後も目が離せない。