岩手大学と名古屋大学(名大)は、ネコのマタタビ反応に特徴的な葉を舐め噛みする行動には、マタタビに対するネコの反応性を増大させる効果があること、ならびにマタタビの持つ蚊の忌避活性を強める効果があることを解明したと発表した。

同成果は、岩手大 農学部の宮崎雅雄教授、岩手大大学院 連合 農学研究科の大上野山怜子大学院生、岩手大 農学部の宮崎珠子准教授、名大大学院 生命農学研究科 応用生命科学専攻の西川俊夫教授、同・安立昌篤講師(研究当時)、英・リバプール大学 感染症・獣医・生態学研究所のジェーン・L・ハースト教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、「iScience」に掲載された。

ネコとネコ科動物全般が見せるマタタビ反応は、マタタビに含まれるマタタビラクトン類と命名された複数の化学物質群によって誘起されていることが知られていたが、なぜネコ科の動物だけがマタタビラクトン類に反応するのか、一連の行動に何か意義はあるのかといった謎が残されており、その謎の一端を研究チームがネペタラクトールという化学物質を新たに発見することで解明した。

これまでの研究から、ネペタラクトールにはマタタビ反応の強力な誘起活性および蚊の忌避活性があることが報告されたほか、マタタビ反応によってネペタラクトールが被毛に付着したネコは、蚊に刺されにくくなることが確認され、マタタビ反応には、植物成分を利用した防虫行動という機能があることが示されていた。

しかし、完全肉食に進化したはずのネコが、なぜマタタビ反応中にしきりに葉を舐め噛みするのか、といった点などが疑問として残されていたという。先行研究から、ネコが葉を食べたり味わったりしているわけではないことが報告されており、実際にはどのような意義があるのかは良く分かっておらず、今回の研究では、その謎の解明を目指して行われたという。