そして5種類の実験を実施。その結果、言葉を話し始める前言語期の8か月の乳児がモニター上のいじめを行う悪者を視線によって罰すること、つまり「第三者罰」を行うことを解明したとする。第三者罰とは、自身に直接に危害を加えていない道徳的違反者を罰することをいう。
これは、乳児が道徳的な行動を行うことを実証したといえ、ヒトが進化の過程で道徳的(あるいは正義的)な行動傾向を獲得した可能性を示唆するとした。近縁種であるチンパンジーが第三者罰を行わないことから、ヒト特有の行動傾向であるといわれている。
またこの実験手法は、乳幼児研究の新しい実験手法の提案にもつながり、パラダイムシフトとなる可能性があると研究チームでは説明しているほか、今回の研究成果は、ヒトとはいかなる存在かという問いに一石を投じ、さらなる人間理解へとつながることが期待されるとしている。