世界的に進むヘリウム代替

近年、ヘリウム不足が各所で取りざたされるようになり、その対応が求められるケースが増えてきている。米国環境保護庁(EPA)でも水素キャリアを公定法に盛り込むといった動きがでてきているという。GC/MSもヘリウムガスをキャリアガスとして用いるため、アジレントでも水素キャリアガス使用時の安全手順書などユーティリティを準備する際のサポートを進めてきたが、質量分析計においては、水素をキャリアガスとして使用すると、どうしても水素化の化学反応問題や、質量スペクトルの変化などが生じるという課題があった。

特に質量分析のライブラリにおいては、比率を化合物を同定する際に活用するが、別の化合物として認識されてしまうという課題や、ピーク形状についてもテーリングが観測されてしまい、その解決も求められていた。

こうした課題の解決に向け、今回同社はイオン源の表面コーティングを工夫することで触媒反応を抑えることを可能としたHydroInertイオン源を開発。これを活用することで、例えばニトロベンゼンの場合、水素と反応しアニリンが発生するが、同イオン源を活用することで、ヘリウムキャリアガスを用いた場合で用いられるライブラリなどを用いても問題が生じることがなくなったほか、ピークテーリングも改善され、正確な定量性を実現することができるようになったという。

  • イオン源の表面コーティングを工夫することで触媒反応を抑制

    イオン源の表面コーティングを工夫することで触媒反応を抑え、それにより水素キャリアに起因する問題を解決することに成功したという

対応するのはエクストラクタEI/CIイオン源の5977Cおよび7000Eで、いずれもオプションとして提供されるという。

なお、受注開始日は6475が8月1日を予定、それ以外は6月中旬以降を予定。出荷開始日は6475が11月上旬予定で、それ以外が8月上旬からを予定しているという。