人が使う化粧品だからこそ、品質を確保するために人があえて行う工程も
同社では、このようなテクノロジーによって、品質を確保する一方で、あえて人が行う作業も残しているという。例えば、製造量によって攪拌の具合が異なるため最適な設備を選定する作業、原料の添加スピードの調整、原料の溶解や均一混合の目視確認といったものだ。
同社は「最新のテクノロジーを導入することだけが目的なのではなく、資生堂の現場の人材が保有する高い技術・ノウハウをテクノロジーと融合させることにより、資生堂ならではの高品質なMade in Japan製品を実現できると考えている」としている。
また、においや色、使い心地、見た印象といった項目の検査は、機器と訓練を受けた「官能パネラー」と呼ばれる検査員が視覚、触覚、嗅覚を使って検査するという。官能パネラーは毎年の更新試験をクリアしなければならず、においのつよい食べ物を避けるなど徹底した自己管理を行っている。
化粧品は人が使う製品のため、その品質を決める大切な検査では人間の五感も活かして検査を行うのだ。
生産性を高め、将来の需要に対応
製造された化粧品を容器に充填、箱詰めし、包装するエリアでは、一部の工程をロボットなどによって自動化。今までその工程における人員の半数を、充填ならびに梱包といった作業に割く必要があったが、その人員を3分の1に減らすことができたという。
また、これまで人が見まわって確認していた資材の供給状況をリアルタイムで把握することも可能だ。巡回の必要がなくなるため、限られた人員でも生産性を高めることが可能だという。
これらの最先端設備を用い、効率化によって生み出された時間をほかの製造エリアの改善などに費やし、品質向上に結び付けていくという。
福岡久留米工場で製造された化粧品は、2022年5月20日より出荷が開始されており、2026年以降には年間約1億4000万個を製造できるまでに生産能力を引き上げ、将来の需要に対応していく計画だ。