今回打ち上げを担当するヴァージン・オービットは、商用宇宙旅行で知られるヴァージン・ギャラクティックから衛星打ち上げ専門で分社された企業だ。ヴァージン・ギャラクティックの商用宇宙船「スペースシップツー」は、巨大な双胴航空機である「ホワイトナイトツー」を空中母艦として、空中発射することが知られているが、ヴァージン・オービットの衛星打ち上げも同様の方式が採用されている。

衛星打ち上げでは、ロケット「ランチャーワン」を備えたロケット運搬機「コズミックガール」がモハーヴェ空港/宇宙港(米カリフォルニア州)から離陸し、ロケットを雷雲の発生しない高度10km以上の成層圏まで運んでから発射する。地上の天候に左右されないため、従来のロケットに比べてスケジュール通りに打ち上げやすいことが大きな特徴だ。

それに加え、空中発射は同じ地点での地上発射と比べ、投入できる軌道の自由度が広いことも魅力となっている。2022年1月に実施された「アバブ・ザ・クラウド」ミッションでも、7機の衛星を米西海岸の地上発射では困難な高度500kmの傾斜角45度の軌道に投入することに成功している。

なおQPS研究所は最終的に、2025年以降を目標に36機のQPS-SAR衛星によるコンステレーションを構築する計画だ。地球のほぼどの場所でも平均10分間隔という準リアルタイムでの地上観測データサービスの提供を目指している。

また、QPS-SAR衛星は2号機で70cm分解能の高精細画像の取得に成功しているが、3号機以降はさらに高い分解能を実現するよう開発を進めているとした。

  • 軌道上のQPS-SAR衛星のイメージ

    軌道上のQPS-SAR衛星のイメージ。収納性の高い折りたたみ式大型アンテナが特徴で、衛星本体よりも大きいほど。これがQPS-SAR衛星の特徴となっている (出所:プレスリリースPDF)