パワー半導体の300mm化で出遅れた日本

ロジック半導体の分野におけるウェハサイズの主流は300mmだが、パワー半導体は長らく200mmウェハが主流となっていた。しかし近年は、パワー半導体トップシェアの独Infineon Technologiesが独ドレスデンに続き、2021年9月にオーストリアのフィラッハに300mmウェハファブを新設したほか、同シェア2位のonsemiもGlobalFoundries(GF)の旧IBMイーストフィッシュキル300mmウェハファブを買収し、パワー半導体の300mmウェハ対応化を図っている。同シェア3位のSTMicroelectronicsもイタリアのミラノ近郊に建設した300mmファブが2022年下半期より稼働を開始する予定としており、ファウンドリのTower SemiconductorもSTMicroのこの施設に間借りして300mmウェハを用いたパワー半導体向けファウンドリサービスの提供を行うとしている。

このようにパワー半導体の300mmウェハ化は欧米で盛んに進められており、取れ数の増加によるさらなるシェア拡大を目指している。一方の日本勢は現在、すべてのパワー半導体メーカーが200mm以下のウェハ製造ラインのみであり、一部のパワー半導体メーカーが300mmウェハファブでの生産を予定している状況。中でも東芝は、2022年度下期にも300mmウェハでのパワー半導体生産を開始する予定としている。

こうした状況の中、半導体メーカーとしては、売上高トップ10外のデンソーがUMCと組んで、300mmウェハでのIGBT生産を開始することを表明したことで、国内パワー半導体メーカーにも動きが出てくる可能性がある。また、デンソーは、ファウンドリ大手のTSMCが熊本県に建設を進めているファウンドリ工場(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing:JASM)に対してもソニーとともに少額出資を行っており、次世代の車載半導体の確保に向けた動きを活発化させている。