微細化の計画を前倒しも、TSMCへの生産委託も進めるIntel
ファウンドリとしてTSMCやSamsungの競合となるIntelのプロセス微細化の状況だが、同社CEOのPat Gelsinger氏は2021年12月、TSMCの3nmプロセスの生産割当枠を確保するべく、訪台を実行。さらに2022年4月にも、訪台を果たし、2nmプロセスの生産割当枠確保に向けた交渉をTSMCと行ったと言われている。その一方、2022年2月に開催されたIntel Investor Meetingにて同氏は、2021年に発表した新たな微細化ロードマップのうち、当面のファウンドリサービスの微細化目標であるIntel 18A(他社の1.8nmプロセス相当)の生産を半年ほど前倒し、2024年後半にも開始できるとの見通しを示している。
Intelは、相当無理をして、わずか4年で5つの技術ノードでの生産体制を構築するとしており、各ノードのプロセスを同時並行で開発中だという。こうした体制構築により、3nm(Intel 3、TSMCの呼称はN3)まではTSMCに1年ほど遅れをとるが、2nm(Intel 20A、TSMCの呼称はN2)ではTSMCに先行し、その後、差を広げるという極めて挑戦的な計画である。ただし、Intelは14nm以降、製造歩留りがなかなか向上せず、計画通りには製品を出荷できない事態を繰り返しており、ましてやCEO自らTSMCに赴き、2nmプロセスの生産枠確保に動いていることもあり、今回の計画を単なる努力目標ととらえる向きも少なくない。
先行するTSMCは、技術的に競合する可能性があるIntelからも最先端プロセスで製造受託しつつ、そうした技術的なキャッチアップのチャレンジに動じることなく、着実に微細化を進めようとしている姿を見せている。Samsungの3nm GAAプロセスが、実際にはいつ立ち上がり、顧客の注文を取れるのか、Intelの技術ロードマップが計画通りに進み、ファウンドリビジネスでTSMCに対抗できるようになるのか注目される。