近年特にホットワードとなったメタバースだが、説明会の中で中馬氏は改めてメタバースブームの背景を振り返った。メタバースはアバターを介して体験するインターネット上の3D仮想空間サービスを指し、その先駆けとして、米リンデンラボが運営する「セカンドライフ」を思い浮かべる人も多いだろう。
特に近年は新型コロナウイルス感染症の爆発的な流行によって自宅にいる時間が長くなり、オンラインゲームのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)化が加速した。オンラインゲームにログインするものの、ゲームコンテンツを主目的とするのではなく、友人と話すためのツールとしてオンラインゲームの熱が高まったのだという。同氏は「部活帰りにコンビニの前で友人と話すようなもの」となぞらえる。
メタバースと同様に近年話題となっているのが「Web3」だ。Web3はトークンやNFT(非代替性トークン)などのブロックチェーン技術を使ったサービスを指す。Web3とメタバースが融合することで、ユーザーはメタバースのプラットフォームを意識することなくアイテムの所有や売買が可能になり、より実社会での経済的なふるまいに近付くと予想される。
Web3をメタバースに適用することで、「Fortnite」や「あつまれ!どうぶつの森」に代表される、単一のプラットフォームに課金してアイテムを購入するモデルから、今後はプラットフォーム間を自由に往来しつつユーザー同士のアイテム売買が可能なモデルへと遷移するだろう。メタバース空間で現実世界とそん色ない経済活動が生まれるはずだ。
インターネット環境の発達やスマートフォンの機能の向上によって、私たちはインターネットに接する時間は以前よりも増加した。さらに将来的には、メタバース空間の滞在時間がリアル空間での滞在時間を上回るとも予想されている。
中馬氏は「今後本格化するであろうメタバースでは、バーチャル空間内で自律的な経済圏が生まれるはず。今後さらにメタバース空間内での滞在時間が伸びれば、リアル空間における化粧やアクセサリーを、アバターが身に付けるアイテムを代替するだろう。メタバース空間内でリアル空間に匹敵する経済圏が生まれるのではないか」と話していた。