奈良県立医科大学(奈良医大)、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)、東京工業大学(東工大)の3者は4月14日、酸化銅と酸化チタンの複合体からなる抗ウイルス材料「CuxO/TiO2」が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の4種類の変異株(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ株)を、白色蛍光灯下で2時間以内、暗所でも3時間以内にウイルスを検出限界値未満まで不活化させることを実証したと発表した。

同成果は、奈良医大 微生物感染症学講座の中野竜一准教授、同・矢野寿一教授、KISTECの砂田香矢乃研究員、同・永井武主任研究員、同・石黒斉サブリーダー、東工大 物質理工学院材料系の山口晃助教、同・宮内雅浩教授らの研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

新型コロナの感染拡大防止対策として行われている、アルコールなどの液体を用いた清拭作業は手間と時間を要する上に、蒸発してしまうため、固体状で抗ウイルス効果が持続し、なおかつ部材へのコーティングや複合化が可能な材料の開発が求められている。

かつて東工大とKISTECは、東京大学と共同で、高い抗ウイルス効果を発揮する材料として、比較的豊富な資源量の元素で構成されており、化学的に安定した酸化物のCuxO/TiO2を開発していた経緯があり、研究チームは今回、そのCuxO/TiO2が新型コロナの変異株(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ株)を不活化できるかどうかの調査、ならびに、その抗ウイルス機構の解明を試みることにしたという。