もともと、スノーラインはガス円盤中において、水氷が存在できる/できないの重要な境界線ではあるが、このようにすぐ内側では岩石粒が、すぐ外側では水氷が溜まる特別な場所となる。これは、スノーライン近辺には、岩石粒とペブルと水氷が濃集することを意味しており、局所的に十分に濃集した岩石粒やペブルは、そこから1~100kmサイズの小惑星や微惑星クラスにまで成長し、惑星の材料物質になることが期待されるという。このことから、スノーラインが固体落下問題を解決し、ペブルから微惑星まで成長させ、さらには惑星まで形成する可能性があるとする。
また、ガス円盤が時間進化することで、スノーラインの場所も時間と共に変化していく。それため、スノーラインの移動に伴いながら岩石塵やペブルの濃集場所(微惑星が形成される場所)が変化していくため、太陽からある特定の距離にある特定の幅で(のみ)微惑星が形成されることになるという。
なお、隕石の分析から太陽系物質の同位体は2つのグループに分けられることが明らかにされており、そのことがスノーラインの移動に伴う、時間的/空間的に不連続な微惑星形成で説明でき得るとしているほか、太陽系の場合、4つの地球型惑星の両端の水星と火星が小さく、真ん中の金星と地球はそれよりも大きいとする特徴が、ある狭い範囲にばらまかれた微惑星から形成され得ると報告されているとしており、もしかしたら太陽系の惑星は、スノーラインという「特別な場所」で形成されたのかもしれないと研究チームでは説明している。